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ハロルドに何か聞くことも、ましてや慰めるなんてこともカイルたちはしなかった。
声を掛けようとしたカイルにハロルドは「どうしたの、カイル?」と変わりなく返していた。
途中戦いながらも、目的である玉座の間へとたどり着く。
「ミクトラン、覚悟!」
カーレルの言葉がちょうど現れたカイル達へと響く。
ソーディアンをミクトランへと突き刺し、晶術を発動させる。
ミクトランの痛みに苦しむ声が響き、皆が倒したと思った。
だが、ミクトランは血を流しながらカーレルを見遣り叫ぶ。
「私とて天上の王と呼ばれた男!ムダ死にはしない!!」
カーレルのソーディアンを掴み、もう片方の手でカーレルへと伸ばす。
そしてその手はカーレルの腹部へと向かい技を直に食らってしまう。
相当なダメージなのにも関わらず、カーレルはソーディアンから手を離すことはなかった。
意地でも離しはしない、そこには使命があり、本人にしか知りえない覚悟があった。
「離しは……しな、い……!っ……離してやるものかぁッ!!」
血を流しながらも、最後の力を振り絞りソーディアンの力を最大限まで発動させる。
刺されている状態のミクトランに耐えられるはずもなく、叫び声を上げながら消えていった。