むへの境地
「やめ、て……やめて、ぇ……っ」
止むことのない圧力にアリアはついに涙を流し、意識を手放した。
――――
――
「つまらん……この時代ではダメだ……もっと……もっとふさわしい場所を!」
カイルたちの攻撃により膝をついたバルバトスの前に立ちはだかるようにアリアは立ち、なおもユリアラを構えていた。
バルバトスは悔しそうにし、今にも移動しようとしていた。
「待て!どこへ行く、バルバトス!?」
「俺とお前の勝負にもっともふさわしい場所だ……カイル=デュナミス……時を越えた先……神の眼の前で、待っているぞ…………こいつと共にな!」
ゆっくりと立ち上がり、アリアの腰に腕を回して引き寄せ今にも頬へと口付けてしまいそうな距離でそうカイルたちに言葉を投げた。
そして時空が歪み、二人が飲み込まれていく。
皆がアリアの名前を呼ぶ中、ジューダスはアリアが一瞬自分を取り戻したかのように見え、思わずジューダス自身も叫んだ。
「アリア!」
その時。
アリアは口をわずかに動かし、一筋の涙をこぼした。
だが、それに気づいたのはジューダスのみだった。
――……ジューダス
確かにそう、アリアの口は動いていた。