出口などなく
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「右で踏み込んで……左下から、……そう!」
「っく」
アリアはミアからくる攻撃を受け止めながら、そこからどう攻撃を仕掛けていくかを教わる。
不思議とアリアは苦手意識もなく、剣を振るっていた。
「うまいわね……さすが、アリア」
「……っ!瞬迅剣!」
「きゃっ!」
ミアのアリアに対する褒め言葉で隙ができたのか、アリアはまるで褒められたことなど気づいていないかのように技を繰り出した。
ミアはその場に転んでしまい、尻餅をついてしまう。
驚いてアリアは動きを止めた。
剣がまるで馴染むような動きと、格闘を得意としていたのが嘘のようだった。
自分でも自分の変化についていけず思わず首を傾げさせた。
――――
――
「どういうこと!?アリアが……なんでアリアがここに!」
「今は目の前の戦いに集中しろ!カイル!」
「でも、でも……!!アリア!!」
ユリアラを構え、光が宿らない目でカイル達を見つめていた。
以前とは違う、まるで自分の体の一部のようにユリアラを扱うアリアに皆が驚くなかでジューダスは冷静だった。
否、冷静なのは見た目だけで至って冷静ではなかった。
エルレインの仕業なのはわかっている、だがあの時と同様の状況と、バルバトスの様子に募る不安は拭いきれないでいた。
「灼熱のバーンストライク!」
「……降り注げ、プリズムフラッシャ」
連携しているような動きと詠唱に皆が苦戦する。
後退していくなか、ジューダスは突っ込んでいき詠唱によって転びそうになろうとも進んでいく。
バルバトスの前にアリアが立ちはだかるがまるで見向きもせずにジューダスはアリアを邪魔だというふうに技を繰り出す。
「月閃光!」
「っ……!」
ジューダスの技によってアリアだけでもなく、バルバトスまでも巻き込まれる。
「……っ月閃虚崩!」
流れるように技を繰り出しバルバトスともに切り刻まれる。
それを好機と、ハロルドの詠唱がちょうど良く二人を襲っていく。
「古より伝わりし浄化の炎……!消えろ!!エンシェントノヴァ!」
形勢逆転となり、戦うジューダスとハロルドにカイル達は戸惑った。
アリアがいるのに、戦っている。
だがわかっていた、今ここで止めなければ歴史を元になんて戻せない。
この中で一番辛い思いをしているのはきっとジューダスに違いないことをナナリーは感じ、攻めにいく。
「ほら、シャキっとしな!今一番辛いのは……ジューダスなんだよ。けど、あたしたちがやんなきゃいけないのは歴史を元に戻すこと……ここでやんなきゃ、意味がないんだからね!」