交わることなく
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「さて、オレたちも行こうぜ。最後の最後でバルバトスに邪魔されちゃ今までの苦労が、パーだ。」
ロニの言葉にハロルドが続けるように頷きながら言葉を続ける。
カイルたちは最終決戦でソーディアンチームとともに乗り込んできていた。
最後の戦いの為、この歴史改変を止めるために。
「……」
「ジューダス?」
「……ああ、今行く」
あの日、アリアがいなくなってからカイル達にアリアがいなくなったことは伝えなかった。
ユリアラもハロルドにだけ話したようだが、ハロルドはまるで知らないかのように話にはあげない。
あの日の夜、ユリアラはジューダスにこう言っていた。
――いいか、アリアがいなくなったことは言うな。知ったのは僕とお前とハロルドだけで十分。……他の人に言えば、作戦が決行された今は誰も動けないし余計な考えで失敗が生まれるだけ。……僕はこの作戦には参加できない。けど、僕も探すから。誰にも……あの人にも……。
ユリアラのあの人とはシャルティエのことだろうと思い、ジューダスはその時頷いて部屋へと戻った。
乗り込んで進んでいる今も、ハロルドの口からアリアの話は出てこないしユリアラも今ここにはいない。
急いで制御室へと進んでいくが、やはりベルクラントは安易に進ませてはくれなかった。
途中で足止めを食らうが、なんとか制御室へとたどり着く。
中に入れば、バルバトス。
しかし、バルバトスのそばには背中を向ける人物が一人いた。
その後ろ姿を見てジューダスは目を見開き、奥歯を噛み締める。
またしてもアリアはエルレインによって操られていた。
「……っアリア……!」
ジューダスの言葉に気づくものは、ハロルド以外誰もいなかった。