せなかをつたう
アリアは幸せな日々を送っていた。
ミアの手作りの料理を食べて、時には中庭に行っては日向ぼっこをしてお昼寝をする。
時には勉強もしながら、ミアとの時間を過ごしていた。
そんなある日、アリアは剣を持たされた。
どういうことだろうとミアを見つめれば真剣な表情でアリアを見つめ返し、静かに言葉を発した。
「いい?あなたはこれから自分の力を持たなきゃいけない……いつか、自分が危険な場所に立たされた時の為に……」
「……」
ミアから渡された剣に視線を移して見つめれば、何かがアリアの中で流れていく。
剣はアリアにとっては苦手なものだ。
どう頑張ろうとも、覚えることもできなければうまく使いこなせなかった。
不安げにミアを見れば微笑んで「大丈夫、ちゃんと教えてあげるから」と言い、アリアの手を引いて中庭へと向かった。
中庭へと進む途中、アリアの中で声が聞こえてくる。
――――アリア……
「アリア?どうしたの?」
「え……あ、ううん……なんでも……」
立ち止まりかけたとき、まるでミアは引き止めるかのようにすぐにアリアに声を掛ける。
アリアは首を振ってなんでもないと答えれば微笑み、ミアの手を握ってまた歩き出す。