いつまでも
どこをどう移動したのだろう、アリアの記憶の中では部屋と中庭ほどしか記憶にない。
とにかく外に出ねば。
アリアはどこかもわからない出口へと歩みを進めるが、後ろからまたアリアを呼ぶミアの声が聞こえてくる。
「待って!アリア!」
呼び止めようとする声に耳を貸さず歩くが、遂には腕を掴まれてしまった。
また振り払おうと振り向いたとき、思い切り抱き寄せられる。
「お願い……どこかに行こうとしないで、アリア……!私はここよ。ここにいるっ……!」
「っ!!はな、して……私を、惑わそうなんていかない!お前はミアじゃない!」
ありったけの声で叫べび離れれば、今二人しかいない場所でアリアの声が響く。
まやかしの存在なんかに、触れられたくもなかった。
だがそれで今の状況が変わることはなかった。
ミアは拒絶されたことにより、今にも泣きそうな表情でアリアを見つめていた。
アリアは俯いて「あっち行って」と声をか細くさせながら絞り出す。
エルレインの仕業だとわかっている、なのに今の状態とミアの表情に胸の痛みには現実味を感じていた。
これは現実じゃない、早く抜け出さなきゃいけない、ここから離れていかなければ。
そう自分に言い聞かせる度に、逆に今が現実なんじゃないかという錯覚に陥っていく。
「っ……!?」
「大丈夫……怖くないから、何も……怖いことなんてないの、アリア」
泣きそうになっていたミアはアリアを強く、離すまいと抱きしめる。
感じるぬくもりが温かく、もはや自分は何がしたかったのかとアリアは全てのことが頭の中から一瞬にして消え去ってしまった。
「み……あ……っ」
「うん……」
「みあ……ミアぁ……!」
アリアはミアの背中に腕を回して大声で泣いた。
流れていく涙はまるで、アリアのかつての思い出を流してしまっていくようだった。