空
一人、アリアは目を覚まして起き上がる。
ユリアラに聞けばカイル達はハロルドに連れられて、また物資保管所へと向かったとのことだった。
「……」
『アリア……まさか、』
アリアはただ小さく笑みを見せて、人の姿の方のユリアラから渡された剣を腰に固定する為のベルトを巻き、ユリアラを腰に差す。
何か言いたげなユリアラに、アリアは心の中で謝った。
本当は相談をすればいい、なのに彼女一人でやるのには、なにか理由があるのだろう。
『……いいよ、アリアのそばにずっと居続けるだけ。僕の最初で最後のマスターなんだから……マスターがすることを、見届けて手助けをするだけだから』
コアクリスタルを光らせながら、ユリアラは優しく言った。
安心したように、アリアはお礼を言ってそっと、しかし急いで外へと急ぐ。
その時外へと出た途端、カイルたちの話し声が聞こえてきて、アリアは思わず隠れた。
なぜかバレることに、恐れていた。
通り過ぎていくのを見届けたあと駐屯地の門へと急いで向かう。
『……待って、アリア』
突然ユリアラに呼び止められ、何事かと思えば足元に何かがあると言い、気になって見れば何かが書かれた紙とブレスレットが置かれていた。
ブレスレットは初めて見るが紙に書かれている内容を見てハッとする。
アリアは急いで門を抜け、一面真っ白の世界へと飛び出す。
手紙には『スパイラルケイブにて、待つ』そう書かれていた。
『罠……かもね。ま、居場所は分かったから。急ごう!』
ユリアラの言葉にアリアは頷き、走るスピードを上げた。
空は相変わらず灰色で、一面白で覆われているのに変わりはなかった。