涙
「アリアは…寝ているみたいだな…。」
『ぐっすりだ…。疲れてたんだろうよ。』
アリアが眠っている部屋のテーブルの傍にある椅子に腰掛けるジューダスとユリアラの会話はなんとも無いようで、しかしアリアを気遣っているかのような会話だった。
深夜遅く、ジューダスは眠れずにアリアの部屋に入り、ユリアラに声を掛けてヒソヒソ話をするかのような会話が数分前から始まっていた。
そして、少しの沈黙の後に、ユリアラはジューダスの表情を見て、問いただした。
『何か、アリアに変わったことでもあったか?』
「…なぜそう思う?」
『お前の表情が硬いから』と、ハッキリと言ったユリアラにジューダスは微かに目を見開いた後、思い出すようにそっと目を伏せた。
「…アリアは、何かを決意したようだった。」
『どういうことだ?それ…』
『僕にもわからない』と頭を振り、そっと眠るアリアの頭を撫でて、思いに耽った。
どれだけ無理をしようと、アリアは言ったりしない。
それがここ最近では頑固になっているようで、ジューダスはいつアリアが暴走しかけないか気が気ではなかった。
もしもまた、アリアが勝手な行動を起こそうなら、その時は叱りつけるつもりでいる。
『…おまえさ、アリアのこと……好きだろ』
「!?何を言うか貴様!」
『おいうっせー…!アリアが起きちまうだろ……っ!』と突然大声を出したジューダスにユリアラがなだめさせる様に言うが、聞く耳を持たない。
「僕がこいつを好きなわけないだろう!?切り刻まれたいか!」
『切り刻まれるよりおまえの場合どっかに捨てるだろ僕のこと!』
騒ぐ中、それでも目覚めないアリア。
そしてアリアを黙って見守っていたシャルティエはアリアが流した一筋の涙に、そっとコアクリスタルに蓋をした。