一歩
「減らず口が叩ける間は安心だな。せいぜい息巻いててくれるなよ。」
あと少しの時間でジューダスがそう言葉を発せば、先頭を行くようにジューダスが突っ込んでいく。
それに続くようにアリアも攻撃を仕掛けるが、ここまで連戦な為息が上がっている。
ハロルドが『あと少しで完了ってところねー。』と言葉と共にユリアラも『数秒ってところだなあ。』と息が合うように続けざまに言葉をカイル達に投げかけた。
ということは現在の戦闘が最後ということになると一向はわかり、精一杯に戦う。
そのときアリアが足を引っ掛けてしまい転びかけたところをナナリーが支えて何とか攻撃を仕掛けたモンスターに一撃を食らわせた。
それが限界だったのか、ナナリーはハロルドにこれ以上はという言葉を掛けたらロニも切羽詰ったように叫んだら、ユリアラが作業する手を止めて伸びをした。
それに比べてハロルドは鼻歌を歌い、のんきになっている。
ジューダスは敵が来ないかと扉のほうに目を向けてアリアの傍に行けば大丈夫というように小さく頷いてみせた。
そして、すべての機能が止まるような音と共に、ハロルドが脱出用ポッド以外は機能を停止させたと言い、すぐに皆部屋を出る。
向かう先は、格納庫で待つディムロス達の元だ。
エレベーターから先ほどの階へと降りて、来た道を戻って走って進んでいく。
行きの時よりも多少なりとも道は把握しているため、難なくと目的の格納庫に辿り着けばディムロスと先ほどの女性、アトワイトが来るのを待っていたかのように、脱出用ポッドの傍で待機していた。
『なんとか間に合った!』とカイルは安堵の言葉をもらしながら二人の傍へと行くと、アトワイトが安心した表情でみんなの心配をした。
ディムロスは早く乗り込むように指示を出すが、それと同時に低く待ちくたびれたというようにカイルの名を呼ぶものの声が聞こえてくる。
振り返り声のするほうを探したとき、黒いシルエットが目の前に出来、それは人の形を成して青い髪に浅黒い肌と禍々しい雰囲気をかもし出す、以前にも対峙したバルバトスがそこの現れた。
ディムロスとカイルが同時にバルバトスの名を叫んで全員が警戒した。
至極冷静にディムロスの方を向いてわざとらしく、バルバトスは礼儀正しく話す。
「…!?」
「?…アリア?」
ジューダスの後ろで更に隠れるようにマントを掴み震えるアリアの姿にジューダスは声を掛けてそっと頭を撫でて安心させようと、微かに微笑をアリアに見せた。
「安心しろ…僕が、僕たちが居る。もう、お前をあの時みたいに手を離したりはしない。」
「…っ、…。」
口の形で『ありがとう。』と告げたアリアにジューダスは頷いて前を見据える。
「さあ、始めようか…次は貴様が死ぬ番だ、ディムロス!!」
「ぬかせッ!!生き返ったのならもう一度倒すまでだ!貴様との積もりに積もった因縁…今度こそ、ケリをつけてやる!!」
その言葉と共に、ディムロスは剣を引き抜き、地を蹴ってバルバトスに向かっていった。