時間
「当初の予定通り、制御室を乗っ取ってダイクロフトの機能を一時的に停止させてくれ。」
ディムロスの言葉に皆頷き、ハロルドが『まかせときなさいって!』と胸を張りながらいう。
制御室を落とされた時点で敵の注意が全部ハロルド達の方に行くと注意を付け足して言い、そしてカイルに格納庫で待っていると声を掛け、その場を後に全員外へと向かっていく。
その際に、シャルティエがアリアにすれ違い様に『無事でいてね。』と言ってきたのに、アリアは頷いて見送った。
「ちっとは認められたってところかな?」
「…ああ、そうだね!よーし、やってやろうじゃん!行こう、みんな!」
ロニの言葉と、ディムロスの先ほどの言葉にやる気を出したカイルは拳を突き上げて先頭を歩き出す。
向かう先は、部屋を出て左にある移動装置のエレベーターに乗り込んで、制御室がある階へと移動する。
上層部へのエレベーターは電源が落とされているようで、ここの階の部屋に制御室があるということが分かり、部屋へと入っていく。
ジューダスに離れることなく傍に居たアリアは微かに顔を顰めてのど元を軽く抑える。
部屋に入れば兵士が侵入者が現れたということを話しているがのんびりとここに侵入されることは無いと笑いながら話していた。
そんなのんびりとした会話もつかの間、ハロルド達が制御室に入ってきたことで、兵士二人は驚いた顔をして侵入者を見てすぐさまモンスターを連れて襲い掛かってきた。
皆すぐに戦闘態勢に入りモンスターと兵士を蹴散らし、助けを求める兵士は傷だらけのまま制御室から急いで出て行った。
「しかし、ダイクロフトの制御を奪うなんて事が本当に出来るのか?」
「私の辞書に、不可能なんて文字は無いわ!!」
戦闘終了後、制御室の画面へと向かったハロルドに背中にジューダスは声を掛けるとどうって事無い様に余裕に返事をする。
「いい?五分間だけ時間を稼いで。それだけあればメインコンピュータをハッキングできるわ。」
「わかった!その間にここを守ればいいんだね!」
コンピュータの画面にせわしなく視線と手を動かしながらハロルドが落ち着き払って言えば、それぞれは頷いて、逃げ出した兵士達が呼んだであろう敵に迎え撃つ体制にそれぞれ入る。
戦闘に加わろうとしたユリアラがハロルドにつかまれて何事かと声を掛ければ手伝えとの指示をされた。
「はあ?お前だけで十分でしょ?」
「うるさいわね、内臓全部抜き出して人工的な機械に中身から改造するわよ!」
「そんな理不尽な…!!……わかったよ、ここをやればいいんだな?」
『分かってるじゃない、さっさとやってね!』と目を画面からなおも逸らさないでユリアラに話しかけるあたり、余裕というものが感じられるのかもしれない。
肩を竦めて画面に少し視線をめぐらせてから、ハロルドと同じように手を動き始める。
ハロルドに劣ることの無いその姿はまるでハロルドと今までずっと傍で見てきたような、そんな動きをユリアラは見せていた。