道の途中
皆が階段を下りた先の目の前で徘徊するモンスターがいるのに気づいて、それぞれ物陰に隠れるように走りをやめれば、ジューダスがカイルに声を掛けた。
「カイル、ソーサラースコープを使え。それで敵の視界が分かるはずだ。視界を確認しながら避けて進んでいくぞ。」
「うん、わかった!やってみる!」
頷いたカイルは、ソーサラースコープを使い、それに皆はモンスターの視界に気をつけて避けながら進んでいく。
延々と続くような道に、アリアは走るスピードが遅くなっていくのを、ユリアラは気づいて傍に寄ればユリアラを見上げるアリアに声を掛けた。
「疲れてるなら僕が背負っていくけど?」
「大丈夫…ちょっと先が見えないような気がして気が滅入ってるだけだから。」
「でも辛そうだよな?」
「……お腹空いただけ!」
紛らわすようなアリアに、ユリアラはどこか放っておけない気持ちになったのか、抱き上げて肩に担ぐようにして走り出した。
アリアは勿論のこと、カイルは凄いと騒ぎハロルドは『何その紳士的な行動は。』とどうということないような言葉をもらした。
他のメンバーはなぜかジューダスを盗み見るようにして心配するかのように黙っていた。
アリアは降ろしてとせがむがなかなか降ろしてくれず、諦めてぐったりとしてなされるがままになった。
「?あれ、ジューダス?」
「なんだ。」
「ユリアラさんに何かあるの?ずっとそっちばっかり見てるけど…。」
「モンスターが居ないか見ているだけだ。」
「でもずっと…。」
鋭くジューダスに質問するカイルに、これ以上はとリアラがカイルの名前を呼んで引き寄せて頭を横に振って無言で駄目と伝えるが、うまく伝わらずにカイルはきょとんとしている。
こういうときだけ、空気をうまく読み込めないカイルにナナリーは『だめだこりゃ。』と言葉をこぼして当人同士の問題で、自分には無関係というようにそっぽ向いて進むことに集中した。
途中仕方なく、モンスターと戦うときにはアリアも参戦して戦うこともあったが、目的地に着くまではほとんどユリアラに担がれたままだったアリアは少しぼんやりとしており、到着したときには瞳を微かに輝かせていたのを知っているのは偶然にもそれを目撃したハロルドとジューダスだけだった。