「おーい、そこのふて寝。邪魔だからベッドいけ」

「拒否します」

「すんな」

「いった!蹴らないで…ッよ、ぶしょい!ぷしょ…ッ!!ふべひゅぶッ!!」

「どんなくしゃみだよ……ほれ、ティッシュ」

「あびばぼー……ぶぴー!」

「…しっかし大変だな花粉症も」

「う゛ぅ…去年は平気だったのに……何故…っぶひょい!!」

「きたねぇ」

「うるさい!ゾロにこの苦しみがわかるか!」

「わからねぇな。外だって歩きたい放題だ」

「え、やめて。花粉症より酷い迷子症のキミが出歩いたら、私が捜しに外いかなきゃなんないじゃん!」

「どんな病気だ!」

「文字通りだよ……っちょびぃーっふ!!」

「……つーか、なんでお前のくしゃみはそんな珍妙なんだよ」

「知らないよ………あぁーあ!もうこれからずっとこの時期外に出れないんだ私!!あぁーあ!!」

「急にどうした」

「いや、さぁー…毎年花見してたのに……花粉症になって………あぁーあ!!もう人生の半分がつまんないー!!」

「お前の人生の半分は花見で出来てんのかよ

……ったく、ほら!さっさと起きろ」

「なにさー…もうほっといてくれよー…」

「させるか。せっかくおれが用意してやったんだから無駄にすんじゃねぇ」

「…用意?なんの?」

「…花見?」

「なんで疑問系なのさ……てか、私花粉症で外出たくないっていってるじゃん!え?嫌がらせなの?」

「…それはまたいつかやるとして」

「おいコラ」

「用意してやったのはこれだよ」





「……………桜…の、造花?」

「おぉ、これなら平気だろ?」

「……へ?あ、あぁ、うん」

「まぁ、嫌って言われてもこれで我慢してもらうけど



………さぁて、酒もツマミも買い込んだし、今日は飲むからな」





「………ゾロさーん」

「んだよ、改まって」

「………ありが、ッちゅっぶしゅ!!」

「………………」

「……………とうございます」

「………………おう」





一輪の造花


「花粉症の辛さなんて、飲んで忘れてやる!」

「ほどほどにな」

「ッは、ぶしょーい!!」

「…………………」

「あ、ごめん。かかった」

「………さて、酒の前にひと運動するか」

「え、ちょ、ホント謝る。マジで謝る!だから拳ボキボキしない…ッうわぁぁあぁあ!!」