海って綺麗だよね

昔は嫌いだったけど、今は好きだよ

特に今みたいな水しぶきがあがった瞬間なんか綺麗だよね、あははははははは…





「………って、おい!現実逃避する暇があったらロープ掴め!」

「もうこのまま流されたい」

「ナナシー!謝るから帰ってきてくれェー!!」


水中でもよく聞こえるルフィさんの声

水面から顔のみを出す私は、海同様に綺麗な青をしている空を眺めていた


何をしてるか?…海に落ちたんだよ

何で落ちたか?…ルフィさんに突き落とされたんだよ


はぁ、とため息をしゾロさんに垂らしてもらったロープを掴む

ロープの先に視線をやると頭にコブを作ったルフィさんがいた(……わぁ、痛そうだ)


天気の良い今日、最近していなかった釣りでもしようと柵に腰掛け釣糸を垂らした

そして鼻歌混じりで釣りをしていた私のところにルフィさんは手加減のての字もないくらいの勢いで飛び付いてきたのだ

もちろん私は海に落下、したが何故ルフィさんは無事なんだ

なんで私だけびしょびょなんだ、くそう


滴る海水が鬱陶しく感じる


「ナナシ、ほらタオル」

「うん、ありがと」

「おれに貸せ!おれが拭いてやるからァ!」

「させるか元凶!」

「ちょっとは考えてから行動しろ」

「ぼべばばぶばっぱー!!」





「…………向こうで拭いた方がいいと思う」

「…………そうだね」


ウソップさんの言葉に静かに頷く

私を突き飛ばした犯人であるルフィさんは必死で謝ってくるが、彼の伸びる頬をゾロさんとサンジさんにおもいっきり引っ張られているためよく聞き取れない


………うん、すごっい伸びてるね


わしゃわしゃと髪を拭きながらその様子を見守る


「拭いてもダメよ」

「あ、ナミさん」

「今お風呂沸かしたからさっさと行ってきなさい」

「あぁ、確かに全身ずぶ濡れだし入った方がいいんじゃねぇか?」


そういうわけではいどうぞ、と言ってナミさんは私に着替えを渡した

正直言ってお風呂に行くのが面倒なので着替えを返そうとしたら


「馬鹿は風邪引かねぇって聞くがお前はアホでもあるからな、行ってこい」

「………ゾロさん、なかなか酷いこと言うね」

「でも風邪引くのはいけねぇから行ってきた方がいいと思うよ?」

「サ、サンジさん…!」


ルフィさんの頬から手を離しさっさと行けと言いながら風呂の方を指差すゾロさん

同じようにルフィさんの頬から手を離し私の頭を撫でてくれるサンジさん

言ってる内容はほとんど同じなのにこうも違うのか(ちなみにルフィさんはゴムの反動でぶっ飛びました)


……ホント、ゾロさんはサンジさんの爪の垢を飲むといいと思うよ


そう言ったら頭を力いっぱいに叩かれた(痛いっ!)


「気持ちワリィこと言うんじゃねぇ」

「ぐす…だって…うぅ……」

「………あー、もう泣くな泣くな。悪かったよ」


慰めるように頭をポンポン叩くゾロさん

いつもならこれしきのこと根に持たないが…


「………やだ」

「!!」


たまには反抗してみることにした

ぷいっとそっぽを向いてお風呂に向かう


ふふーん、だ

いつも頭を叩くゾロさんに仕返ししてやるんだから!


扉を開けて中に入る前に振り向いてビシッ!と指を指して言ってやった






「お風呂あがったあと、頭拭いてもらうからね!」


じゃなきゃ許してあーげない!


過去に育ての親である二人にこれを頼んだら「勘弁してくれ」と断られたことがある

何故だかよくわからないが…きっと嫌なことなんだろう


だからゾロさんにやってもーらおっと!


いひひ、と笑いながら勢いよく扉を閉めお風呂を目指し走り出した
















「……………」

「…毬藻くん毬藻くん、おれの言いたいことわかる?」

「……………断る」

「いや、テメェに断る権利はねぇ。ナナシちゃんの髪を拭くのはおれだ!代われ!」

「断る」

「いんや、おれだ!おれがやりてぇ!」

「クソゴムにそんな権利はねぇんだよ!」

「眉毛にもねぇよ。おれはやらなきゃなんか許してもらえねぇらしいし」

「一生許されなくていいんだよ毬藻なんかは!」

「おれだって謝りてェ!」

「安心しろ、ナナシはもう気にしてねぇから。あとクソコックはくたばれ」

「んだとぉぉお!!」

「そうか、許してもらえたか、よかったー。でもおれも拭きてェ」

「ナミ、タオル貸せ」

「させるかぁぁぁあ!!」

「おれも拭きてェぞぉぉぉお!!」








「…………元気だな、あいつら」

「そうね。そして拭くのは私よ」

「って、おめぇもか!! 」





やだよ+罰として

=お風呂あがりよろしく!



(あがったよー!)(おう)(……なんか傷だらけだね)(気のせいだろ、ほらこっち来い)



(…はっ、誰が譲るかよ)





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97000HIT、リクエストしてくださったクリュウさんへ

リクエスト内容は「連載主で麦わら一味に愛され」でしたが、どうでしょうか。展開が心なしか早いような気がしますが…そ、それはきっと気のせいです。
そして勝手にゾロ落ち?にしてしまいました。
…希望通りになってるか不安ですが、気に入ってくださると嬉しいです!

ちなみに、育て親の二人は親バカの嫉妬が鬱陶しくて勘弁してくれと言った……という裏話があります。…解説ないとわからないですね、これ


それでは、リクエストありがとうございました!