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- ナノ -



「はぁ………」

「ドンマイ、二人で仲良くやるのよ」


………くそう、楽しそうだな


放課後の予定が埋まってしまい、テンションが下がる

次の授業が教室だったらそのままずっと机に突っ伏すことができたのだが、残念なことに体育なので校庭に向かう

そして先生は臨時のスパンダム先生

いつもはガープ先生だが、腰を痛めて今日はお休みらしい(歳には勝てないね)


あーあ、私あの先生嫌いだな

嫌がらせしてくるから


そう思っているのはナミちゃんも同じようで、文句を言い出した


「スパンダムの野郎…無理難題突きつけてくるからムカつくのよ!」

「あはははは…」

「…笑ってるけど、今日の内容聞いてんの?」

「え?」


今日の内容?

……たしか、男子はサッカーで女子がテニスじゃ…



















「今日の体育は男子は予定通りサッカー、女子は長距離走だ!」


ドドーン!と言いはなった先生の台詞に、女子から一斉ブーイング

私は声も出さずに唖然としていた


………長距離、って

前回で終わりじゃなかったの!?


先生は男子をコートに移動するよう指示し、勝手に試合をしとけ、と投げ出した

そして残った私たち女子に説明をする


「平均タイムがギリギリ足りなかったんだよ。男子の方は気持ち悪いぐらいよかったがな」


………あぁ、みんな運動神経いいからね


「女子は惜しかったなぁー、一番遅かったやつが大分足引っ張ってるみてぇだぜ。あーあ、あと20秒速かったらなぁ……なぁ、にまんだ」

「…………うっ」


ニヤニヤしながら私の名前を呼ぶ先生

一番遅かったやつ、それは私のわけであって…


ガハハハ!と笑う先生の声が響く

恥ずかしい気持ちと、みんなを余計に走らせてしまって申し訳ない気持ちになり俯いてしまう


………うぅ、だから嫌いなんだよ…

わざわざ言わなくてもいいのに……












「ガハハ…あ?ガハァ!?」

「すいまっせーん」


今すぐこの場から走って逃げ出したい、と思っていたら豪速球でサッカーボールが飛んできた

先生の顔に


そして犯人は


「蹴りミスりましたー」


まったく反省の色を見せないロロノアくんでした


「てめっ…わざとか!?わざとなのか!?」

「まさかー」

「嘘つくんじゃねぇ!」

「先生にボールなんて当てねぇッスよー」

「棒読みィィイ!!」


ヘラヘラ笑いながら普段まったくといっていいほど使ってない敬語を話すロロノアくんを見つめる

先生に胸ぐら掴まれながらも彼はこちらをチラリと見て


「……………あ」


一瞬だけ、いつものニヤリ顔になった


まさか…ロロノアくん


「だー!くそっ!もういい!女子走れ!!5キロだ!!」

「え!多くないですか!?」

「うるせぇ!追加だァ!!」






……先生なんか嫌いだ

























「ひっ…はっ…ひっ…はっ……」


じ……ぬっ…!


地獄の長距離走が開始されてしばらく

いつもより距離が多いので疲れが半端ない

途中ナミちゃんにお尻を叩かれたが……もう無理です


歩く速度と変わらないぐらい遅い走り

先程ロロノアくんにボールを当てられた先生は苛立ちがマックス

その憂さ晴らしとして、苦しんでいる私を見逃すはずがなくて


「おいおいおい!歩いて追い付けるぜ!?」

「ひっ…ふっ…ひっ…はっ」


む、ムカつく!!

この人ホント性格悪いよ!!なんで先生なの!!


と、心のなかで怒鳴るが実際はそんな元気はもう残っていないのだ


「ハッハッハッハベバァ!?」

「は…ふ……!?」


豪速球のボールが先生の顔に……それは先程よりも数倍強く

華麗に飛んでいく先生

目の前の出来事に思わず足を止めると


「足滑りましたー」


………棒読みのロロノアくんがやってきた


肩で息をしながらどうしたらいいか分からずオロオロしていたら、私より数周多く走り終えているナミちゃんがきた


「ふんっ!いい気味よ」

「な、み…ちゃん……そんなこ、と言ったら……」

「大丈夫、気絶してるわ」


…………あ、ホントだ


ロロノアくんの弾丸ボールを二回も喰らった先生は泡を吹きながら気絶してしまった


「ケッ、根性のねぇ野郎だな」

「よかったわね、にまんだ。あんたのナイトが守ってくれたわよ」

「ナイトってなんだよ、おい」


………いや、ナイトなんかじゃないけど

でも助かったことは事実だし


正直もう倒れる寸前だった私にとって、まさに救世主


それに、さっきもそうだよね

私が嫌がらせされてるの、助けてくれたんだよね


じぃー、と見つめていたらロロノアくんは首を傾げてきた

そんな彼に


「ロ…ロノア、くん」

「ん?」

「ありが、とう…!」


お礼を一つ

ここで調度よく鳴るチャイム(どっちにしろ走り切れなかったね、これ)

酸欠の頭で二人の手を握り教室へと足を向けた


さぁ、教室へゴー

















「……よかったわね、意識が朦朧としてて」

「…おぉ。つか、手小せぇなぁ」

「………え、変態?」

「殴るぞ」



ボールの威力は最強
体育は苦手なんだよね