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寝癖よし!制服のシワ…も、よし!


いざ、勝負の時!


朝のチャイムが鳴る5分前

階段を登りながら深々と息を吐いた


昨晩、ナミちゃんのお陰で出た答え

恥ずかしくもそういう答えとなってしまっのだ


…いや、その……別に、いいんだけどね


これを本人に伝えるかどうかは別として、二人には必ず伝えなくてはならない


ナミちゃんと







「あれ?にまんださん、どうしたの?」


私と同じ気持ちの、彼女に


一つ一つ教室を調べるつもりで来たが、一つ目で当たりがきた

まるでお人形さんのような彼女

昨日の喜びようを見たあとにこんなことを言うのは気が引けるが…隠し通すよりいいだろう

辺りに知らない人ばかり(他クラスの中だし、当たり前か)で不安もあるが………意を決して自分の気持ちを言う






「あの、ね…付き合ってはないけど………私も好きなの…!」


誰が、とは言わなかったが彼女には十分伝わっただろう


……だって、また眉がハの字になってる(させたのは、私だけど)


「それ、ホント…?」

「…うん、ごめんね」


あぁ、どうしよう

周りから見たら私が悪者だ


「………いや、いいんだ。いいんだけど…昨日のうちに言ってほしかったなぁ」


そうすれば、期待なんか持たなかったのに


そう言ってポロポロと泣き出してしまった彼女

そんな様子にクラスの人達が気づかないはずもなく、私たちは注目の的となった


「ごめんね、ホントごめん……昨日考えてわかったの」

「昨日……?」


初めは確かに怖かった


でもね、時々見せる子供っぽいところとか

困ったときに助けてくれる彼が好き


ホント、単純すぎる自分に笑っちゃうよ













「……ずるいよ」

「…え」

「ずるいよ、にまんださん…!」


丸くて可愛らしかった目がキッと鋭くなった

彼女の突然の言葉に固まってしまう


「…私なんか、もっと前から好きだったのに…あなたが彼と同じクラスになる前から…好きだったのに…!ずるいよ!う、わぁあぁあ…っ!」


本格的に泣き出してしまった彼女

あたふたと周りを見渡せば廊下にまでギャラリーが出来てしまう始末(あぁ、なんで教室なんかで話しちゃったんだろ!)


「で、でも…まだ私付き合ってないから…」

「そんなの関係ないよ…!だってゾロくん…にまんださんが好きじゃない!」

「それ、は…」


なにも言い返せない





………あぁ、だから私はこんなに余裕があったんだ

この子は相手の気持ちがわからなくて、ずっと不安だったのに


それなのに私は、彼女の気持ちを振り回して






最低じゃないか


彼女に言われて自分のやったことの重大さに気づかされた


もう周りの目も声も気にならない

今、私には泣きじゃくる彼女しかいない




あぁ、これが女の争いってやつかぁ…ドロドロしてるなぁ


なんて心のどこかで思いながら、彼女の怒りを受け止めようとした


「そんなの…にまんださんの彼に対する好きは違うよ!」

「!」


彼女の言葉に思わず顔を合わせる

睨むような視線と向き合った


「自分の使ってたオモチャが取られる感覚なんだよ…きっと!」

「ち、違うよ!」

「違くない!」


彼女は私を恨む権利がある

怒る権利も、ひっぱたく権利もあるだろう


でも、この気持ちを否定することだけは…絶対にない


「私だってあなたと一緒だよ!」

「一緒じゃない…!」

「なんでそんなこと言うの…!?」

「好きなのは私だけなの…!」


そんなことない…

そんなことない!


私だって…あなたと比べたらものすごく短いけど


必死に考えたんだよ

必死に悩んで

必死に答えを出したの



だから否定だけはしないで


この、気持ちを












「私だって…ロロノアくんが大好きだ!!」


バァン!


突然の大きな音に、私たちも周りのギャラリーたちもそっちを見る

どうやらこの大きな音は教室のドアを力いっぱい開けた音で、原因は





「…………ロロノアくん」


大好きな彼だった


「もて男の登場だぜ!」

「まさに昼ドラ!早朝からいいもん見せてくれたなぁ!」

「さぁ!ロロノアちゃんはどっちを取るか!?」


話の中心人物が出てきて、周りの男子がはやし立てる

ここでようやく自分がどれほど恥ずかしいことをしているかがわかり、思わず顔に熱が集まってきた


教室の入り口で突っ立ったままなにも言わない彼に、周りはどんどん調子づいていく


…もうイヤだ…何でもっと考えなかったんだろう

これからずっとからかわれるんだ


これからの周りの視線と彼女に対する申し訳なさで涙まで込み上げてきた


「ほらほら、早く答えねぇからにまんだちゃんが泣いちまうぞ!」


トドメの一言にとうとうポロリと涙がこぼれ落ちてしまった

あの子も近くの友達に泣きついている
























「………………おい」

「あ?」

「歯ァ、食いしばっとけ……よ!」

「ぅがっ!?」


最後に騒いだ男子の目の前にいき、大きく振りかぶったロロノアくんは頬を殴った

勢いのあまりぶっ飛ぶ男子に再び教室が静まり返る


「………あと8人」

「は…!?」

「顔も覚えたし、逃げ切れると思うなよ?」


ニヤリ、と青筋をたてながら笑う彼に恐怖を抱かないものはこの場にいないだろう


………私以外


拳を手のひらにパン!と叩きつけながら先ほど騒いでいた8人の元へと足を踏み出すロロノアくん


これ以上やったらあの男子はボロボロになるし、なにより彼自身も停学…最悪の場合退学になってしまう


それだけは阻止しなくては、と思い彼の背中に触れようとした瞬間…担がれた


「え、ちょ…え!」

「ま、これぐらいにしとくか」

「あ、え…ちょ!」

「舌噛むぞ」


まるで米俵のように担ぐ彼に戸惑ってしまう


……いや、この強引さがロロノアくんだな


「にまんださん!」

「!」

「………おめでと、あと…ごめんね」


またハの字にしながら手を振る彼女

可愛いだけじゃなくて強い彼女にこちらも手を振り替えしながら、心のなかで謝った





揺れる彼の肩を遠慮気味に掴んだら背中を優しく叩かれた


………あぁ、また泣きそう




























「にまんだ」

「…………なに?」

「授業、サボるぞ」

「…………うん」



心地よい振動
さぁ、こんどは私から