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- ナノ -



「うぁあー……」


夜、ご飯も風呂も済ませた私は奇声をあげながらベッドにダイブした

安物だから固くて鼻を強打……したが、そこまで気にしなかった(痛かったんだけどね)


いや、気にできなかった


頭の中には教室での出来事でいっぱいだ


「………可愛い子、だったなぁ」


無意識のうちに出ていた言葉


放課後やってきた名前も知らない、とても可愛らしい子

私と比べたら……いや、比べちゃいけないな


はぁあ、とため息をつきながら枕に顔を押しあてて落ち込む


が、ここでふと思った





……………あれ?なんで落ちこんでるんだ?

別に私はロロノアくんと付き合ってる訳じゃないのに……




なんで、なんでこんなに








悲しいんだろう


込み上げてくる感情に戸惑っていると、部屋に着信音が鳴り響く

無視をしたかったが、画面には"ナミちゃん"の文字が


……………でなかったら怒られるね、これ


………確実に


あはは、と一人で笑いながら通話ボタンを押した


「もしもし、ナミちゃん?」

「にまんだ?今いいかしら」

「うーん…出来ればまた今度がいいんだけど…」

「そう、よかった。あんたに聞きたいことがあったのよ」


あれ?私、断ったよね?

…………まぁ、いいけどさ


相変わらずな彼女に苦笑いしながらも体を起こし、なんとなく正座をする

ナミちゃんとお話ししてればこんな気持ちも忘れるかな、なんて思っていたら彼女の次の言葉に携帯を落としそうになってしまった




なぜならナミちゃんが


「にまんだはさ、ゾロのこと好きなの?」

「え」


私が今悩んでることをズバリと聞いてきたから(的中だよ、ナミちゃん)


質問になんと答えていいかわからず、黙りこむ

ナミちゃんも私の答えを待っているらしく何も言ってこない


どうやら私が話すまでこの沈黙は続くみたいだ

静かな時間に思わず目線を下げてしまう







ごめん、ナミちゃん

私も、わからないんだよ


自分のことなのに、誰かから答えを教えてもらいたいの



ねぇ、ナミちゃん


あなたなら、わかりますか?











「………あのね」


ようやく私から出てきた言葉は小さいもの

それでも聞こえたらしく、向こうも小さな声で返事をしてくれた


「…えと、んと…た、例えばだよ?例えば…」






……………………………………………た、例えが出てこない!(こんなときにグダグダか!私!)


「………例えば?」

「た、例えば…!」


言いたいことがまとまらない自分の頭が憎い!


数秒後、ようやく目を回しながら話を始める


「例えば…自分の仲のいい友達が、他の子のところにいっちゃうとき…そのときに悲しくなるのはなんで?」

「へ?」

「友達としてだから?それとも……」




それとも………大切な人だから?


他人任せで申し訳ないが、友達の…親友のナミちゃんに助けてもらいたい










再び長い沈黙

通話料が大変なことになるなぁ、なんてくだらないことを思いながら彼女の答えを待った


「…………にまんだ、それは女友達の場合?それとも男友達?」

「えっと…」

「どっちにしてもそれは、自分の好きな人が取られちゃうから悲しいんだと思うの」


機械越しの優しい声

彼女の話を無言で頷きながら聞く


「にまんだはさ、その人といたときどうだった?」

「どうって…」

「楽しかった?」

「……うん、楽しかったよ」

「じゃあ、これからもその人と一緒にいたい?」

「…………う、ん」

「なら好きなんじゃない?もちろん、恋愛の方でね」


数個の質問で簡単に答えを出したナミちゃん

しかし、私はまだ納得できない


「でもね、それはナミちゃんに対しても思うんだよ!ねぇ、ナミちゃん…私、わかんないよ……初めはあんなに怖かったのに…逃げてばっかりだったのに…なんでこんなに悲しいのかな………ナミちゃんにだって、付き合ってない、とか好きじゃないとか言ってたのに……もう、わけわかんないよ!」


感情が高ぶってしまい、せっかく出した例えも意味なく大きな声で話す(バレちゃったな、誰のことか)

さらに申し訳ないことに軽く泣き出してしまった


ホント、自分で自分がわかんない


呼吸の乱れを整えようと深呼吸していたら、耳からため息が聞こえた







「あんた、バカ」

「………へ」

「もう答え出てるじゃない」


彼女の言葉に思わずポカーン(今の私を見たら絶対にアホ面だ)


「要するににまんだは、初めのうちはあんなに否定してたから認められないだけなのよ。そんなの忘れて、もう一度よく考えてみなさい」

「え、あ…はい」

「ん、よろしい!じゃ、答えは明日聞かせてね」


ばいばーい、と言って電話を切ったナミちゃん

数分前と違ってスッキリとしていて…やっぱりナミちゃんに話してよかったと思った



静かになった携帯をゆっくり下ろしながら私は窓の外を見つめた
















「……………よし」



頼りになる親友
答えは決まった、かな