甲板に座り込み空をじっと見つめる



…寒い寒い、あぁ寒い

こりゃあ冬島が近い証拠だね


…………うぅ、寒い!


「だったら中に入れっつーの」

「あ、ゾロだ」

「…鼻水垂れてんぞ」

「ズピッ」


座り込む私の格好は毛布にマフラー、毛糸の帽子を耳まで被るという完全防備(しかも手にはホットココアさ!)(うまうま)

そんな私の所にやってきたこいつは…この寒い中いつもの格好ときたもんだ(バカですか)


「風邪引いちゃうよー」

「おぉ、お前がな」

「……………………………………ホント、なんでゾロは鼻水垂れないの?」

「どっかの誰かさんとは違って鍛えてんだよ」


……………いや、さすがに無理じゃね?

これ、耐えきれないって


ケロッとしている薄手のこいつがムカつくが…バカは風邪引かない、という言葉を思いだし納得

鼻下まで毛布を持っていった


「うぅ、寒い…」

「だーかーらー…中入れっつーの!」

「…う!いひゃいっふ」


座り込む私の頬をグニッと摘ままれた

寒いから余計に痛いが抵抗する気も起きず、大人しく痛みに耐える

しばらくしてやっと離してもらったころには、痛さで逆に頬が暖かくなった(気がした)


「だいたい、この寒い中空見上げて何がしてぇんだよ。天気だってワリィし」

「……………雪」

「あ?」

「雪、見てみたいなぁ…って」


この船に私が乗ってしばらく経つが、まだ冬島に足を踏み入れた記憶はない

それに今まで夏島という真逆の気候にいた私にとって、雪とは未知なるものなのだ


ルフィからは雪の素晴らしさは延々に語られるし、チョッパーは冬島出身だからこれまた雪について更に詳しく話されるしで……正直言って羨ましいぞ、チクショー




………と説明し、私がここにいる意味がわかったらしいゾロは、一回白い息を吐き出して


「ったく、しゃあねぇな」

「え?」

「うらっ」

「うぎゃっ!!」


私の毛布を剥ぎ取った


ヒィイィィイィ!!な、な、なななな!何するんだァァァア!!


突然の冷気により熱が奪われていく

ココアを握りしめるが、その程度の熱が足りるはずもない(寒い寒い寒い寒い!寒い)


「いいいいいいっ、いった…なななな…!も、う……ふ!」

「まぁまぁまぁ、待てって」

「うひぃいぃッ!!……………い?」


ガタガタ体を震わせ(ほぼ無意識)ていたら、グイッと後ろに引かれ何かに包まれた

その上から今度は毛布が被さり先程よりも暖かくなる


「これでさっきよかあったけぇだろ?」

「え、あ…う…」

「……いや、照れんなよ。こっちまで恥ずかしくなる」


何か、とは先程まで隣で立っていたゾロで

そのゾロの足に乗るように座っている形となっている


……は、恥ずかしい!

い、いや…ゾロとはそういう関係なんだけど、さ


でも恥ずかしい!


背中の熱や腰にまわる腕のせいで、頭の中から雪のことが消えていく

寒さだって遠く彼方へと消し飛んだ











「あー…あったけぇ」

「………や、やっぱ寒いんじゃん」

「おれは風邪は引かねぇっつったが、寒くねぇとは言ってねぇ」

「………そ、ですか」


グリグリと首もとに顔を押し付けられて痛かったが………………うん、まぁ、暖かいからいいよ






視界にちらつく緑色が心まで暖かくさせた








(ほんと、子供体温だな)(……私、君と同い年ですが)(中身の話に決まってんだろ、アホ)(………)(あ゛ー…ぬくい)







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おーっと、名前変換がないというアクシデントがー。

実は恋人設定だったというお話。たまにはベタベタするのもいいね、うん。