東の海〈イーストブルー〉にある小さな島
そこに小さな女の子がいました。まだ大人とは言えない彼女は、震える声で叫びました
私は弱虫なんかじゃない
自分に言い聞かせるように言ったこの台詞、これを聞いた黒い髪の男性は眉間にシワを寄せ、タバコの煙と一緒に言葉を吐きだしました
彼女を思っての言葉でしたが、言い方に問題があったのか、少女の瞳に溜まっていた涙は重力に負けてぽろりぽろりとこぼれ落ちました
その様子に、青い髪の男が黒髪の男を注意をしました。言い過ぎだ、と
少女は止まらない涙をそのままに、その場から走り出しました。唇を噛み締めながら何度も何度も「悔しい」と心の中で叫びながら
何も言い返せなかった
弱虫で、泣き虫で、力も何にもない
そして結局逃げることしか出来ないんだ
自分の情けなさについに少女は声を出しながら泣きだしました。小さな小さな子供のように
泣いても泣いても枯れることのない少女の涙。一人で泣く少女の涙を止めたのは、記憶の中にいる人物でした
―なぁ、アルト。どんなことだってしていい、好きに生きろよ
―でも、後悔するようなことだけは絶対すんな
―もし後悔しちまうようなことをしちまったら、
「……その後悔が吹っ飛ぶくらいのことを、しろ」
―結果はかわんねぇかもしんねぇけど、気分は晴れるぜ?
涙は止まる気配もなく流れ落ちていきました。しかし瞳には小さく、そして強い光が一つ
小さな喧嘩と小さな勇気、そして微かな記憶が少女の一歩に繋がりました。更にその小さな一歩が
後悔が吹っ飛ぶくらいのこと、なんて…わっかんないけどさ
今無性に、飛び込んでみたいな、って思った
綺麗で、大好きで、そんで怖くてたまらないこの海〈世界〉に
大きな冒険〈一歩〉に繋がるでしょう
後悔+涙
=さぁ、吹っ飛ばそうか
(いってらしゃい)(記憶の中の大好きなあの人が)(背中を押しくれた気がした)
(うん、)(いってき、ますっ!!)
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