船を進める度に変わっていく四季。そして今現在の季節は夏
「「「あっづいぃー…」」」
「……口に出すな」
甲板の影になっている部分でへばっているルフィ、ウソップ、アルト
だらけたくなる気持ちもわかるが邪魔だ
「こんな暑いんじゃなーんにもやる気起きないよー」
「夏バテになるー」
「…いやいやいや」
「…お前の朝食風景からは夏バテのなの字もなかったぞ」
力ないウソップの台詞により朝の風景がよみがえる
確かに、あの食いっぷりから夏バテの気配は感じられなかった
「バカかウソップ、昨日の朝飯より500グラム少なかったぞ」
「グラム単位でわかるの…」
「知るかよそんなこと…」
相変わらず食に関してはいろいろと恐ろしいルフィ
あいつの発言に二人はツッコムが今にも死んでしまいそうな声だ
……こりゃ、結構ヤバイかもな
今この状況で敵にでも襲われたりしたらあいつらは使い物になるのだろうか
おれがそこまでへばってないからやられることはないが、だるんだるんの三人を守りながら戦うことだけは勘弁してほしい
どうにかならないか、そう考えているところにいつもよりラフな格好のコックがやって来た
「こんな暑い日にゃかき氷だぜ!」
手に白い山を抱えて
「うんまーい!」
「ホント、おれとしたことがこいつのことを忘れていたとは!」
「サンジおかわりー!」
「少しは加減しろよ」
先程までのだらけっぷりは何処へ
渡された氷の山に各自好きなシロップをかけ、幸せそうに頬張っている
…ぱっと見、ナミとアルトのかき氷が豪華なのは目をつむってやろうと思う
自分のかき氷を口に含み、かき氷特有の頭痛に耐えながらスプーンを進めた(あー、冷てぇ)
「なぁなぁ、思ったんだけどよ」
何杯目かわからないルフィが、何もかかっていない氷を見て呟いた
どうせくだらないことだろうと思い手を止めることなく、耳だけを傾けていたら
「かき氷って白いから、アルト食ってるみてぇだな!」
なんという問題発言
おれを含む三人の口から氷が吹き出た
「私?」
「ルフィ…あんた…」
「ナミもそう思うだろー?」
「………………んじゃあルフィさん!」
「ん?」
「私をいっぱい召し上がれ!!」
「おう!!」
問題発言その2
おれを含む三人の手からかき氷が落ちた
暑い日+かき氷
=ちょっと黙れ
(おれ、もうかき氷食えないかも…)(いや、でもここにミカンのシロップをかければナミさんも一緒に食べたことに…!)(やめてサンジくん)
(みんな、かき氷がもったいないよ?)(そうだぞー)(…やべ、殺意が芽生えた)
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