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事の発端は航海士の彼女の一言


「あーもう、最近気候が荒れてるせいでゆっくり休めないわ…」


それプラス問題児の多いこの一味。彼女の苦労もよくわかる


疲れたときはなにが良いのだろう


大好きな彼女のために頭を悩ませたアルトが出した答えは


「そうだ、温泉に行こう!」










「おれが一番乗りだァア!!っあ゛ぁあ!?冷てぇぞ!?」

「まぁ、池だからなそこ」


まさか本当に温泉に行くことになろうとは、いや嫌じゃねぇからいいけどよ(どちらかと言うと好きだし)


アルトが突然「温泉に行こう!」と言い出したのは驚いた。そしてこんなにすぐ実行されたことにも驚いた

着いた島に温泉が、しかもこんなにも純和風なところがあるとは


ふう、と息を吐きながら湯に浸かる。少々熱すぎる気もするが、露天なので外の空気が中和してくれる


「んだよなんで池なんかがあるんだよぉ!」

「そりゃお前、見映えを良くするためだろ」

「ちくしょう…あの滝、面白そうだったのに…池なのか…」

「いやルフィ、ちゃんとこっちにも滝あるぜ!」

「なにぃ!?本当か!!」



「「うぉぉお!!滝ぃー!!」」


ばしゃばしゃばしゃ!





「…………うるせぇ」


風呂ん中走り回るんじゃねぇよ


「修行だ修行!」と叫びながら滝に当たりに行く馬鹿二人。何故かおれも誘われたが全力で拒否した


今他の客がいないからいいかもしれねぇが…いや、いなくても駄目だ

こういうのは静かに入るもんなんだよ


おれの心の呟きに同意するように眉毛がため息をつく。その姿を目に止めたおれは一瞬固まった


「…ったく、子供じゃあるまいしはしゃぎやがって」

「…おい、眉毛くん」

「あ?」

「その手にあるのはなんだ?」

「あぁ、いやなに。最近視力が落ちたらしくて…こんないい景色なのに悔しいから眼鏡をもってブフォ!」

「それは眼鏡とは言わねぇ」


双眼鏡と言う


口では言ってねぇが顔に「これから覗きに行ってきます」と書いてあったため、その気持ち悪い顔を全力で湯に沈めてやった

ボコボコと泡を出しながら手足をばたつかせるこのアホどうしてやろうか、と悩ませると背後からノック音が


「もしもーし?」

「…………」

「あり?声聞こえたはずなのに……もしもーし!!」


こ、の声はまさか…


「………アルト?」

「あ!やっぱりいた!」


おれの背後には木製の壁しかない。そしてそこからアルトの声がする


……つまりこのすぐ向こうが女湯ってことだ


ここの経営者にもう少し間取りを考えるべきだと言ってやりたくなった(現にここに覗こうとした野郎がいるわけだし)


「その声はゾロさんだよね!?そうだよ、私アルトだよー!!」

「…あぁ、うん。声、んなでかくなくても聞こえっから」


恥ずかしいから止めてくれ


そんなおれの呟きが届いたらしく声を抑えるが会話を止める気はないらしく、アルトは喋り続ける


…この壁の薄さも問題だ、遠くを見つめながらそう思ったおれだった





「こっちはねぇ、泡がボコボコしてて…何だっけ、えーと…ジャーキーだっけ?」

「ジャグジーよ」

「そう!それそれ」


肉かよ、それはそれでルフィが喜びそうだが


「て言うか何?あの男共いるの?勘弁してほしいわ、あんな変態達がこんな近くにいるなんて」

「違うよ、近くにいるのゾロさんだよ。サンジさんいないよ」


…………おい、一瞬流したけどお前の中であの眉毛=変態なのか?

いや、悪かねぇ。大正解だし


「あいつが一番変態よ、ムッツリよ」

「おい、聞こえてっからな」


仕切りを挟んでアルトとナミが話しかけてくる

なんだこの状況は、と眉間にシワを寄せるが、この瞬間横に(沈んで)いた変態が目を覚ます


「その声は…!ナミさんにアルトちゃん!?」

「「「変態が起きた」」」

「んな!?」


ナミとおれからだけならまだしもアルトからも「変態」と言われて膝から崩れ落ちた変態

あまりのショックにそのあと聞こえてきた「あはは、冗談冗談!…冗談だよ?もしもーし、サンジさーん?」と言う言葉は届いていないようだ


「アルト、さっさと体洗って上がりましょ。あんなやつらと一緒にいたら変態が移るわ」

「え、あ、ちょ…」

「"ら"じゃねぇよ」


背後から遠退く二つの気配


ようやく静かになったが、すぐ横にゴミがいたことを思いだし立ち上がった


こんなところでゆっくりできるかっつーの

おれもさっさと上がるか





「……なぁ」


ばしゃばしゃと音を立てながら上がろうとするも、弱々しい声に引き止められる


……この時、なんでおれは素直に言うことを聞いたのか(いや、もう反射的に立ち止まったようなもんだけどよ)


仕切りである壁を見つめながら野郎は呟くように声を発した








「この薄い板のすぐ向こうに、アルトちゃんとナミさんはいたってことだろ?





裸で」

「……………」

「はだ、か…で」

「……………………」





数秒の沈黙、その後おれらは二人仲良く池へと足を進めた





一石二鳥
【いっせきにちょう】
一つの行為によって、同時に二つの目的を果たすこと



「なんだぁオメェら、そこ池だぞ?」

「うるせぇ、いいんだよこれで…」

「滝修行してぇのか?あったけぇ方にも滝あんのに」

「ちげぇんだよ…ルフィ、頼むから黙ってくれ…!」

「おぉ…?」


クソッ!なんで想像なんかしたおれ!!

だいたい見たこともないのになんで想像できたおれ!!


「お、おいサンジ。鼻血出てるけど大丈夫か?」

「あぁ、至って健康だ。なぁ、ゾロくんよ」

「…話しかけんな、変態が移る」


……あぁ、おれもか





__________

10万打リクで捧げようとした物。書き上げてリクエスト内容に沿わないことに気付き、別の物を書きました

ぶっちゃけこっちの方が四字熟語あってる気が…!

温泉に入って身も心も癒された!みたいな


……説明しなきゃいけない時点でアウトか



とりあえず削除するのが勿体ないのでこちらに