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「#幼馴染」のBL小説を読む
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〈アルト編以降〉



「いただきまーす」


今日も順調に航海をする私たち、麦わら一味

……に、事件が起きた


サンジさん特製、ショートケーキ!

あぁ、おいしそうだ


楽しみの一つであるオヤツタイム

今日のオヤツのケーキを一口食べた瞬間


「あー…」


ぱくり


「………ッ!!」


ピキッ!と走る頬の痛み……いや、奥歯の痛み

瞳に涙を溜めながら自分の脳内で答えを出した


まさか、まさか…まさかぁぁぁあ!!


「い…や……だぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」


メリー号に私の声がこだました





















「うっ…うっ……歯磨きはちゃんとしてたんです………甘いものも…そこまで多く食べてないんです」

「でも虫歯は虫歯。はい皆ー、近くの島に上陸準備ー、歯医者探すわよー」

「いやだぁぁあ!!」


あのあと、私の叫び声を聞きつけ皆が集まってきた


口内の痛みの原因は、そう虫歯

その虫歯がバレると嫌だったので誤魔化そうと必死で口を押さえたが、とりあえず口を開かせようとしたゾロさんに頬を握り潰されバレた(虫歯刺激された…)(超痛い!)


「潰したのは謝る…が、治療はしろよ」

「いやだぁー…!」


歯医者怖いー

虫歯ないからー


べそべそと泣きながら駄々をこねるが…もちろん聞いてはくれない


「ほっぺた腫れてるなー」

「とりあえず冷やしとけばいいんじゃねぇか?」

「おれ氷持ってくる!」


嫌だ、遠くにいきたい、死にたい、怖い……いやだぁぁあ!!


今すぐにでも逃げ出したいのが…ロープで縛られているのでそれも敵わない(ひどいよ…)


「とりあえず口開けて」

「ひっぐ…うぅ……あー…」

「うわ、真っ黒いのが一個」

「ううぅ……」

「ごめんよアルトちゃん、おれがもっとしっかりしてれば…」

「まったくだ」

「……クソ毬藻、テメェは全滅しろ。入れ歯にしろ」

「テメェがなれ」

「「…やんのか!?」」

「……おい」


今にも掴み合いの喧嘩をしそうな二人

……今にも引きちぎりたい奥歯


ため息をつくだけでも響いてくる


「アルトー!ほら、氷だ!」

「…あ、ありがと…」


びたん!!


「う、ぎゃぁぁあぁぁあぁあ!!!」

「どうした!?」

「「「「お前のせいだよ!!」」」」


ルフィさ、てめっ…いぎゃぁあ!痛いぃぃい!!


ルフィさんの親切が裏目に出てしまった

持ってきた氷の入った袋をおもいっきり……そうおもいっっっっっきり!!頬に押し付けてきたのだ


もういやだぁぁあ!!


120%悪いルフィさんを皆でボコボコにしながら、私たちは島へと上陸した















「船番はウソップとルフィね」

「えー!おれも行きてぇ!」

「うるひゃい!ひゅっひょひょひょへひゃっへろ!」

「え?なんて?」


虫歯を発見したてのころより腫れてきた頬

お陰でまともに喋れない……くそっ!


私の虫歯の痛みを悪化さしたルフィさんをまともなウソップさんと一緒に船に残し、歯医者へゴー


………今からでもいいから逃げ出したい、ぐすん


ゾロさんに担がれ、ナミさんを先頭に歯医者へと向かう

ちなみにサンジさんは念のため買い物にいっている(ルフィさん、食べるからね沢山)


「ひっぐ……うぅ…」

「あーあー、泣くなって」

「…ひょひょひゃんに、うちゅれ」

「つねるぞ」

「ひぃ!」


こうして泣く泣く歯医者へと行く決意をしたわけだが


「すいません、ここら辺に歯医者ってありますか?」

「あるよ、一つだけ……」

「……なんだよ、なんかあんのか?」

「いや、そこの歯医者……トラウマになるぐらい痛いから」

「帰りゅぅううう!!!」

「バッカ!暴れんな!!」


そんな歯医者に行くくらいなら私は死を選ぶ!……のは嫌だから

虫歯と一緒に生きる!死ぬまで共にするんだ!!


町の人の発言を聞き意図も簡単に吹き飛んでいった決意

道を教えてもらったナミさんは暴れる私を無視しながら歯医者へと足を運んでいった


「トラウマなんてできるわけないじゃない!あの人もあのあと冗談だって笑ってたわ」

「そりゃそうだ」

「おねがいーあちょでなんれもしゅるからー」

「………………」

「………………」

「………ハッ!………ま、迷うなよ!」

「ハッ!そ、そうだわ!!」

「うわーん!」


助けてー!!





















「アルト、今頃治療してんのかなー…」

「おいウソップ!煎餅あったぞ、食うか?」

「おー!サンキュー……う゛ッ!!!」

「んぐんぐ…ん?どうした?」

















「いあ゛ぁあ゛あぁあ゛あ!!!」

「はい、暴れないでねー」

「うがぁあ゛あ゛あぁぁあ!!」

「はいはいー痛かったら手ぇ挙げてねー」

「いあい゛ぃぃい゛い゛!!」

「ん?バンザイしてどうしたのー?」







「「………………」」


島全体にまで響き渡るほどの叫び声


「………トラウマだ」

「………トラウマね」


その声と歯を削る音を聞いて二人も顔を青ざめたそうだ




数十分後………






「う゛っ…ひぐっ…もういやだぁ…」

「はいはい、お疲れ様…」

「痛かったよー!!」


見事に虫歯を治してもらった


……痛みはこれでもかってぐらいあったけど


二人に慰めてもらっていると、私の歯を治療してくれた先生がやってきた


「いやー、ごめんよ嬢ちゃん。この虫歯はちょっと特殊だったからさー」

「う……特殊?」

「そう、ほらこの果物に身に覚えは?」

「あ!」


そこには真っ赤で不思議な形をした実が一つ


身に覚えがあるもないも、それは少し前の島でルフィさんが持ってきて、サンジさんに渡していたやつだ

もちろん、それはその日の夕食に出ていた


「これ、甘くて美味しいんだけどねぇ…そのせいか虫歯になりやすいんだ

しかも痛みも通常の虫歯より何倍も痛い」

「はー、だから治療も痛かったんですか」

「そうだよ、ごめんね」


といいながら飴を渡してくれた先生

もう完全に治ったから普通に食べてもいいらしい


すっかり歯が治って上機嫌の私は先生にお辞儀をし、メリー号に帰ろうと二人に言ったのだが


「………………」

「………………」

「……どうしたの?」


頬を押さえながら黙りこむ二人

不思議に思いその様子を眺めていたら、遠くからルフィさんの声が


「たっ、たたたたた大変だぁー!」


猛スピードでこちらにくるルフィさんの手には、死にそうなウソップさん


「ウソップが虫歯になったぁぁぁあ!!」

「…えぇえぇぇ!?」


だからウソップさん、ほっぺた押さえてるの!?


………ん?押さえてる?


ハッと後ろにいる二人のことが頭に過った、が怖くて振り返れない

どうしようか、と固まっているところにまた一人やってきた


「アルトちゅわぁーん!虫歯治った?ほら、お詫びにこの町で有名なお饅頭買ってきたんだー」

「サンジさん…」

「ウソップが、煎餅食べたとたんに悲鳴をあげて…!」

「ルフィさん…」


二人が同時にここに着いたその時、背後から沸き上がるものすごい殺気


い、いけない!ルフィさんたちが…!!


そうは思っても、私はどうすることもできなった





















「なぁぁあに…厄介なもん持ってきてんだテメェはァァア!!」

「いた!?なにすんだゾロ!!」

「しかもなに料理しちゃってんのよ!!」

「いっ!?な、ナミさん!?」

「そしてなにより…」

「一番ムカつくのは…」









「「なんで原因のお前らが虫歯になってないんだぁぁぁぁあ!!!」」

「「ぎゃぁぁぁぁぁあ!!?」」









「……先生、患者です」

「あー、うん」


ボロボロになっていく二人

とりあえず私のできることはウソップさんを先生にお願いすることと

みんなの治療をお饅頭片手に待つことだけだった






食べ物+虫歯

=歯磨きはしっかりと



(その後、ウソップさんとナミさんそしてゾロさんの悲鳴を聞いたのは言うまでもない)

(……歯磨きと、知らない食べ物には気を付けなきゃだね、うん)