夏、といえば暑い。死ぬほど暑い そんな暑さを吹っ飛ばすには己のテンションをあげるしかない ………と、いうわけで 「祭りじゃぁぁあい!!」 イヤッホォウ!と跳び跳ねながら船内で暴れる。勿論この騒ぎようにナミさんのげんこつが私の頭に落ちた。ちなみに二回目である(さっきも騒いじゃった) 頭に二つのコブを乗せた私はソワソワとナミさんの用意を待つ まだかな、早く行きたいな、いろんなの食べたいなっ! わくわくそわそわ、意識せずに動き出す体にげんこつ三回目の可能性が出てきた 我慢できずに私が再び暴れだそうとしたとき、目の前が真っ暗に ビックリして真っ暗の原因を確かめるとそこには布……というか、私の知識に間違いがなければ浴衣があった はて、なんでだ? 「せっかく付き合ってんだからデートの一つや二つしてきなさい」 「へ?」 「てか、それぐらいしないとあの緑がかわいそうだわ」 「…………へっ?」 文字通り目が点になった私。「帯は何色にするかなー」なんて楽しそうに服をあさるナミさんの先ほどの言葉を頭の中で繰り返す そしてその言葉の意味がようやく理解できたとき 「どぅえっ…でぇぇえぃとぉお!!?」 思わず絶叫した 「ちょ、うるさい!!」 「おぶっ」 んでもって、近場のクッションを投げつけられた(ひどいっ!) ボトリと落ちたシンプルなクッションを抱え、ふかふかなそれに顔を埋める 「ナ、ナミさぁあん。祭りってみんなで行くんじゃないの?」 「こんな定番イベントを恋人と過ごさないでどうする気よあんた」 「こ、こい…っ!」 そんなはっきり言わないでー! クッションに埋めているため、こもった声が部屋に響く 恥ずかしさのピークを簡単に向かえた私は部屋の隅っこで座り込んでしまった こ、こここここ恋人ってそんな…や、確かに世間一般では恋人っていうんだろうけど でもでも、改めて言われると恥ずかしいし ………え、デート?誰と誰かデート??? 私?私と?え?ゾ… …………………う、 「ぅわぁあぁぁあぁあ!!!」 恥ずかしいよォ!耐えきれないよォ!ナミさん止めてよォ! 抱えたクッションをそのまま抱きしめ、ナミさんがいるこの部屋から出ていこうと、足を扉の方へ向ける しかし私の逃げる気配を察したナミさんは自分の長い足で私をけつまずかせ、そして私の背中に馬乗りになってきた(どーいった状況?これ) 「ナ、ミさ…?」 「さぁ…覚悟なさい…」 「ひぃ!?」 「ふふふふふふふ…」 いやぁあ゛ぁぁああああ……… 日差しの心地よい海岸の昼に私の声がこだましていった ――――…… 「ん?今悲鳴が…」 したような …………いや、したな 閉じていたまぶたを上げ、辺りを見回す 先ほど聞こえた悲鳴は確かに悲鳴だったが……なんというか焦るような悲鳴ではない。多分がめついあの女にでも遊ばれてるんだろ、なんて特別気に止めることなく再び寝る体勢にはい、ろうとした したんだが 「ねぇ、剣士さんちょっといいかしら?」 ……………なんかきた 目の前でにこやかな笑みを浮かべるロビンに、内心盛大に舌打ちをしてやった 露骨に嫌な顔をしてみるが相手は気にすることなくこちらに歩み寄ってくる 「いや、よくない」 「あら、なんで」 「なんか、よくない」 「そんなあやふやな理由で拒まないで欲しいわ」 「安心しろ、おれの第六感がそう言ってるからあやふやじゃねぇ」 「酷いわね」 っせぇ、おれの勘は当たんだよ てかそんな怪しい笑みを浮かべるお前も悪い とりあえず多少の距離を開けてくれたので、話は聞いてやろうと思う 「剣士さん、この島に祭りあるの知ってる?」 「ん?あぁ…ルフィたちが騒いでたな」 おかげで中々寝れなくイライラした その話を今話すということはきっと船番でもしろ、ということだろう 祭りに行きたいか行きたくないか、と聞かれたら…正直どっちでもいい。あ、やっぱ行かないで寝ててぇ いつものように押し付けられるそれに抵抗などなく(むしろ大歓迎)喜んで承諾しようとしたら、「船番なんてさせないわ」と笑顔で言われ横から腕が伸びてきた 背後に人の気配などなかった、ということはこの腕はこいつの能力というわけで(腕をクロスさせてる時点で確定だろ) 「ちょ、おい!何すんだ…!」 「船番なんてさせないわ」 「それさっきも聞いた!」 「船番なんて…」 「会話する気あんのか!?」 「クラッチ!!!」 ゴキッ!! 鈍い音に、暗転する視界 理不尽なこの仕打ちにブチギレたくても、意識を手放してしまっては意味がない(しゅ、ぎょー不足だ、な…くそ) …………だから言ったろ?おれの勘は当たるんだ クラッチ+おれ =なにこの仕打ち (ロビンちゅわーん!上手くいった?)(えぇ、予定通りよ。あとはお願いね、コックさん)(了解です!) (………がは…っ!) |