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- ナノ -



朝起きたら


「あ、おはよー」

「…………え、誰?」


見たことない女


「じゅうまんだよ」

「……………は?」


………ではなく、大きくなったじゅうまんだがいた





ナミの"こいつはじゅうまんだ"宣言に固まるおれとウソップ。ルフィは「そうかじゅうまんだかー、なんかでかくなったなぁー」なんて特に気にせず朝飯に手をつけ出した(受け入れるの早!)

コックはコックで事情を聞いているらしく、大きくなったじゅうまんだにデレデレしている。つまりいつも通り

当の本人も気にすることなく朝飯を頬張っているので、まともな会話ができるナミに説明を求めたらなんとも信じがたい話だった





「昨日立ち寄った島でね、荷物か抱えた年寄りがいたらしいの。で、お礼に見たことない果物貰ったんだって」

「……まさか、とは思うが」

「……い、いやいや。あのじゅうまんだでもそりゃねぇだろ」

「…………残念ながらそのまさかなのよね」

「「……………」」


呆れて何も言えない

とりあえずそこの白い頭の馬鹿を一発殴っておいた(いたいっ!何するのさ!?)(うっせぇ)








「だーいじょうぶだって!時間がたてばもとに戻るっておじいさん言ってたし!」

「………てことは、お前はこうなるのがわかってて食ったのか」

「……………えへっ」


えへ、じゃねぇ。おいウソップ、そこの馬鹿を全力で殴ってくれ


朝の騒ぎから少し経過した今、現状況をどうしたらいいかわからないおれらはその怪しいジジィの発言を信じるしかない

話によると貰った実は、食った奴の歳が10才増えるらしい(つまり今のじゅうまんだは25才)


「しっかし、不思議な実ィ食ったなァ」

「悪魔の実じゃねぇのか?」

「えー、でもこの前泳げたよ?」

「じゃあ本当にただの不思議果物だな!」

「不思議の時点でただのじゃねぇだろ」

「どっちでもいい!おれは今のセクシーなじゅうまんだちゃんがいれば!!」


…あぁ、相変わらずいつも通りだな


この状況をすんなり受け止めてしまったあいつらに、呆れを通り越して尊敬の眼差しを向ける

そしてその視線をそのまま一点に固定した



「いひひっ!セクシーだなんて初めて言われた!」


言動はいつもと変わらないじゅうまんだ

変わらない、そう、変わらないのに何故だか落ち着かない





大人びた顔つき(子供っぽさがなくなった)

少し癖のある長い髪(短いときにはわからなかった髪質)

成長した身体(くびれに、む……っだあぁあ!おれは何を考えてるんだ!!)


自分の考えてる内容に熱が顔に集まってくる

それでも視線はあいつから反らすことはできなくて


そのせいか、視線がしっかりと合ってしまった


ふにゃりと歪む顔。他のやつらに可愛いだのなんだの誉められていたじゅうまんだは、頬が若干赤みを帯びて(やめろ、)(熱が移るから)

ひょこひょこと笑いながらこちらに歩み寄ってきた



「ねぇねぇ、ゾロさん!私今25才だよ!」

「…そーだな」

「この中で一番年上だ!」

「…見た目はな」


中身は…当たり前だが15才のまんま

だらしなく笑うじゅうまんだを見ていつも以上に落ち着かないのは…そうだ、気のせいにしておこう





「でもさぁ、私が本当の25才になったとき、どうなってんだろうね」

「あ?」


なんだよ、急に


「まだ、海賊やってるのかなぁ…それとも、夢が叶ってみんなバラバラかなぁ」


少し寂しげに呟くじゅうまんだ。その台詞におれは数回瞬きをする





……10年後か、考えてもなかったな


簡単にゴールはできないこの航海。それでも10年経てば"もしかすると"が起こるかもしれない


……まぁ、想像なんで確証はないが

でも、それでも絶対だと言えるのは


「変わんねェだろ、お前は」


隣にいるのが誰だか知らねェが、それでもお前は


「今みたいに笑ってんじゃねェの?」


馬鹿みたいに頬緩めてさ


視界からようやくじゅうまんだを追い出し、遠くの景色を眺める

こんなに海の上で生活しているのに、あまり眺める機会のない水平線を見ていると追い出したじゅうまんだが視界いっぱいに(うぉあ!?)(び、びっくりすんじゃねぇか…!)


「ん、だよ」

「10年後もよろしく!」

「…………っは?」

「10年後も変わらず笑ってるってことは、10年後もみんなと一緒にいるってことでしょ?」


だから、よろしくぅ!


片手をあげながらじゅうまんだはケラケラ笑う

その様子を見て、こいつは10年どころか何十年経ったって変わんねぇな、そう確信した





一喜一憂
【いっきいちゆう】
状況が変わるたびに、喜んだり心配したりするようす



「じゅうまんだ、ちょいこっち来い」

「?うん」


わしゃわしゃ


「…………なんで頭撫でるの?」

「んー?なんとなく?」

「……さいですか」


そ、なんとなくだ。なんとなく

…………あー、髪やわらけェな、こいつ







__________

オレンジさんリクエスト『連載主+10歳でゾロの甘々』でした!

ちょいと無理矢理夢主には成長してもらいました。そして25才夢主とゾロが仲良く甘々に……ん?甘々??

…まだ夢主に仲間以上の感情がないので、現段階ではこれが限界です…

ちなみに他メンバーは、気をつかったナミさんに押さえ込まれてるってことにしておいてくださいっ


では、四字熟語通りかと聞かれたら素直に頷けるかわかりませんが、気に入って下さると嬉しいです!

リクエストありがとうございました!