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波瀾万丈。海賊がたくさんいるこの時代、そんな人生の人はたくさんいるだろう

そんなたくさんの内の一人が私(だと思う)





『なぁ、お前一人なのか?』

『え?あ、はぁ…』

『だったらおれの船に来い!』


私の記憶が確かなら、これが二週間前彼と初めて交わした会話

そこそこ名の知れた海賊に捕まり死ぬ覚悟をしていたところに、彼ら"麦わら一味"がやってきたのだ

そして助けられた今、成り行きでこの海賊船にいる


「…………成り行きって恐ろしい」

「じゅうまんだ?」

「あ、いや。何でもないよ」


もふもふもこもこ。冬には便利、夏には同情を誘う毛皮の持ち主のチョッパーが不思議そうにこちらを見上げてきた

ちなみに今は秋っぽい天候なので、彼を膝に乗せても抵抗はない


「ありがとね、助けてくれて」


今こうして生きてられるのも彼らのおかげ。命の恩人なのだ

何度も言ったお礼を再び口にしピンクの帽子にアゴを置いた瞬間、横から首がにょいんと伸びてきた

こんなホラー現象が出来る人は、世界広しと言えどあの人だけで


「にしし、気にすんな!」

「うぎゃぁあぁあ!!ルフィの首がぁぁあ!!」

「…ルフィさん、あんた何やってんの」


そしてチョッパー、うるさい


私よりも付き合いが長いはずの彼が驚き叫ぶ。仕方なく背中を擦ってやっていると、先ほどの人物が今度はちゃんと胴体ありでやってきた


「いやー、わりぃわりぃ。ちょっと釣りしてたからよ!」

「そうですか。で、成果は」

「なしだ!」


「だから止めてきた!」豪快に笑う彼の歯が眩しい。そして釣り用に用意していたバケツも綺麗なんだろうな

本日の夕飯から魚という選択肢がなくなったようだ


「いや、大丈夫だ。あとでまたやる」

「へぇ、お疲れ様です」

「おう!今日中には釣ってやるからな!そしてじゅうまんだ歓迎パーティーは豪華にやるぞ!」

「へぇ。………ん?」

「そういうことならおれも手伝うぞ!」

「よし来いチョッパー!」


「でっかいの釣るぞー!」「釣るぞー!」なんて盛り上がる二人(いや、一人と一匹)

そんな二人には申し訳ないが


「あのー」

「ん?なんだ?じゅうまんだもやるか?」

「いや、そうじゃなくて……





私、次の島で降りますよ?」

「そうか!降りるのか!」

「よーし、じゃあじゅうまんだも一緒に頑張って降り……」













「「「な、んだってぇぇぇえぇー!!?」」」


う゛っ…耳がキーンッってなった!


今さっきまでこっちまで楽しくなるぐらい笑顔だった彼らの顔が恐ろしいことになっている

一番恐ろしいのが、何故か突然現れたサンジさん


「降りるってどういうこと!?じゅうまんだちゃん!!」

「いや、どういうことと言われましても…」

「なんで降りちゃうんだよ!」

「許さん!おれは許さん!船長命令だ!じゅうまんだは二度と船から降りるな!!」

「んな無茶な」


職権乱用もいいとこだ


三人が「降りないでくれ!」「好きだ!」「許さん!」と、代わりがわりに訴えてくる(ちょ、一人おかしい!)

いろいろ言われてもしょうがないことで……それにもう許可は貰ってるんだよなぁ


「許可!?誰にだ!!」

「ナミさん」

「「ナァミィィィイィイ!!!」」

「どうしてだー!ナミすわぁーん!!」


ぴーこら騒ぐ彼らにこの船の影の支配者(って、言ったら悪いけど)が不機嫌なオーラを出しながらこちらに顔を出した


「あんたら、うるさい」


そして三つの脳天に拳が落下

仲良くおそろいのタンコブを作りながら正座をする三人。どうやら少し落ち着いたようなので話をしようと思う


「えーと、まずはあのとき助けてくれてありがとうございました」

「まぁ、仲間だからな。今もこれからもずっと。だから船から降りることは」


ゴン!!


「………………」

「続けて」

「………はい」


黙ることを知らないのかルフィさん


コブから出る煙を見つめ、呆れる

あまり長々と話すのは好きじゃないので簡潔に話をまとめてみた


私がこの船を降りたい理由は二つ




私が弱いってことと私の夢のため

そういったことを伝え終わると、あんなに騒いでいた三人はすっかり黙ってしまった


「………夢ってのは、次の島じゃなきゃ叶わねぇのか?」

「うん、そこの島でやらなきゃ叶わない」

「……………………」

「今まで、お世話になりました」


頭を深々と下げる。しかしルフィさんはそんな私に何も言うことなくその場から立ち上がり、放り出していた釣りを始めてしまった

その背中ならは先ほどのナミさんと同じくらい不機嫌オーラが


まだ島につくまで時間があるのに……


居心地の悪い空気。……それを作ってしまったのは自分なのだが


「うわぁああ゛あ!!おれっおれが守るから一緒にいてぐれぇー!!」

「そうだぜじゅうまんだちゃーん!!」

「だから…船に乗れねぇ理由があるっつってたじゃねぇか。能無しマユゲ」

「んだと毬藻!!」

「ウソップー!ウソップからも言ってぐれよぉー!!」

「………………」


ぎゃいぎゃい、わいわい………ほんっとにもう
















「うるっせぇぞ!!さっさと目覚まし止めやがれ!!!」

「……………はっ」


頭に物凄い衝撃が一つ。上下が反転する視界には、今にもぶちギレそうな男性が一人(あ、居候先の人です)(口悪いよね、恐いよね)

そして視線をずらしてみれば、六時五分を指し仕事をしている目覚まし時計が転がっていた

ここでようやく自分がベッドから落下したことがわかり、体を起こす。そして五分間鳴り続けた目覚ましを止めてやった


「起きれねぇならアラームなんざかけんじゃねぇ」そう言って部屋から出ていく彼に一言謝罪をし、体を伸ばした





今の、夢かぁ

…懐かしいなぁ


なんで今さら夢に?と思ったが、原因は昨日の新聞だろう

彼らとわかれてしばらく経つが、一度たりとも忘れたことなんてない

みんなの顔を、彼の言葉も





「みんな、元気だよなぁ。相変わらず」


ま、私も負けてられませんが


今日も一日頑張るために先ずは顔を洗おう。そしてあの新聞をファイルにでも挟んでおこうか


二年経っても変わらない彼らの顔を眺め、私は部屋を後にした





一期一会
【いちごいちえ】
一生に一度しか会う機会がないような縁であること



「うるせぇぞお前ら!じゅうまんだはもう決めたんだ」

「ルフィ…でも…」

「じゅうまんだ」

「うん?」

「短い間だったけどよ、さっきの言葉は嘘じゃねぇからな」

「さっき…?」

「にししっ


"仲間だからな。今もこれからもずっと"!」

「!」

「忘れんなよ!」

「………うんっ」







__________

琴子さんリクエストの『麦わら一味で感動系』でした


…感動系?感動できるのこれ。しかもリク内容と大分違…っ!!

…………ホントすみません。完成も遅いし、まとまりもないしで。私の力量じゃこれが限界なんです…

それではお待たせして申し訳ありませんでした!お持ち帰りは自由ですので

リクエストありがとうございました^^