×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



「ウソップさん、ウソップさん」

「なんだ?」

「必殺技が欲しい」

「……………は?」

「必殺技が欲しい」





おれ様率いるこの一味が無事にグランドラインに突入して数日

武器の開発をしようと甲板に道具を広げていたら、珍しく真顔なじゅうまんだが隣に正座をしてきた

それだけだったらよかったのだが、意味のわからないことを言い始めるので思わず動きが止まる


今、なんて言った?

え?必殺技が欲しい??は?


何も言葉を発しないおれをどう思ったか知らないが、今度は丁寧に頭まで下げてお願いしてきた(土下座じゃねーか!何してるんだよ!?)

とりあえず頭を上げさせてなんでそんなことを思ったのか聞いてみると


「だって、必殺技あったらカッコいいじゃんか」

「……………」


………あぁ、そう


なんともまぁじゅうまんだらしい返答に苦笑い

そんなおれの服の裾を掴みながらなおも頼み込んでくるじゅうまんだ

もちろんおれはシカトを決め込んでいたが……





「私だってウソップさんみたいなカッコいい必殺技が欲しいィー!!」


ピタリ





…………おれ、みたいに…"カッコいい"必殺、技……?















「まずじゅうまんだの場合は技名から考えるか」

「はい!ウソップ大先生!!」

「何してるんだ?おめぇら」


………まぁ、こんなに必死に頼んでくるんじゃ仕方ねぇ

カッコいいおれ様が一肌脱いでやるかな!!


出していた開発道具を片付ける。その間にじゅうまんだが騒ぎを聞きつけやってきたルフィに状況を説明し、三人で考えることになった


「必殺技かぁ…"ゴムゴムのォー"なんてのはどうだ?」

「ルフィさん、私腕とか伸びないから」

「…それに、お前の技じゃねぇかそれ」

「ハッ!そうだ!やっぱりダメだぞ!!この技はおれのだからな!」

「だから、やりたくても私出来ないからね!」


………前途多難だ

つーか、ルフィがいるから余計にまとまらねぇんじゃねぇのか、これ


「……うーん、どうしようウソップさん」

「ん?…あぁ、そうだなぁ。まずは自分がカッコいいと思ってる単語を言ってみたらいいんじゃねぇか?」

「なるほど!」

「肉なんてどうだ!?」

「ルフィさん、ちょっと黙ってて」


…………肉、って…どんな技だよ


おれのナイスな助言のおかげで技名の方はどうにかなりそうだ

じゅうまんだの思うカッコいい言葉を待つ


「そうだなぁ…私、グラタンとかカッコいいと…」

「お前、それ今食いたいものだろ!ルフィと大差ねぇよ!」

「失敬だな、おれは肉だ!」

「何が言いてぇんだよ!」


前言撤回だ、どうにもならねぇ


頭がくるくるパーのルフィに精神年齢5歳児じゅうまんだから、まともな答えがあると思っていたおれが馬鹿だった


「う、うそうそ!さっきのうそ!私、サンダーとかファイヤーとかカッコいいと思う!」

「捻りがねぇが…まぁ、そんなところだな」

「"肉サンダー"とか"肉ファイヤー"とかか?」

「そんな技嫌だ!」

「……そろそろ肉から離れろ」


…そんなこんなで技名が決まりそうだが、技自体はどうすればいいのだろう

サンダーやらファイヤーやら付けたとしても、じゅうまんだが雷や炎を出せるはずがない

おれが思ってることを言ったら、じゅうまんだはにひっ!と笑いブイサインをこちらに向けてきた(な、なんなんだ?)


「実は技そのものは今名前考えるときに一緒に考えちゃったー」

「ほー、で?どんな技だよ」

「んとねぇ…」

「待った!!」

「え?」

「どうせならやって見せてくれよ」


その方がよくわかる


そう言ってルフィは向こうで寝ている緑頭…ゾロを指差し笑った

笑顔でなんてことを、と思ったが…まぁゾロは丈夫だし大丈夫だろう(いや、ダメじゃない?)((平気平気))

おれとルフィはじゅうまんだの背中を押してから物影に隠れ、そっと様子を見守った


………さてさて、いったいどんな必殺技か









「ねぇねぇゾロさん、寝てるところ悪いけどちょっと立って?」

「んー…?」


…まだ半分夢の中だなあいつ

ふらふらしてるやがるぜ


「なんだよ、いったい…ふわぁ…」

「スーパー!!」

「………………は?」


事情を一切知らないゾロに向かってじゅうまんだがポーズを決める(技名…スーパーから入るのか)


「おい、何してんだ」

「ゴールデン!ビッグ!サンダー!スペシャル!マリーン!」

「ちょ、待て待て待て待て!」


………ホントにただカッコいいって思った言葉を並べただけかよ


巻き込んでしまったゾロに申し訳ない気持ちになっていたら、突然じゅうまんだがしゃがみ


「お前いい加減に…」

「フィッシングファイヤァァア!!!」


ゴンッ!!!


足のバネを使って全力でゾロの顎に頭突きをしやがった

見事クリーンヒットしたそれを見ておれはピシリッと岩のように固まる(ルフィは隣で拍手を贈ってる)


あ、あいつ…初め戸惑ってたくせに全力でやりやがった……!!

あぁ!こっちに向かってブイサインするんじゃねぇ!


己の顎を押さえ悶絶するゾロの片手が刀を握ったので、おれはダッシュでその場から逃げ出した(もう海を泳いでしまおうか…!!)





「………あれ?ウソップさんどっかいっちゃった」

「…ぉ゛…い……じゅうまんだ」

「んっ?」

「最後に…言い残したこ、とは…ねぇか…?」

「……………え゛?」





切磋琢磨
【せっさたくま】
学問や技芸を練り磨くこと



「てめぇら三人そこ座れ!!」

「「「はい」」」

「いいか!?遊ぶんなら他人に迷惑かけねぇことしろ!!」

「「「はい」」」

「あとじゅうまんだ!!」

「は、はい!」


むぎゅうっ


「ッ!!…ッぶびゃぁぁああ!?」

「暫くこの手、離さねぇからな」

「なんぶぇ、わらひらへぇぇえ!!?」




………いや、じゅうまんだ

それで済んだんだからいいだろ

おれらなんボッコボコにされたんだから







__________

みおんさんリクエスト『連載主と麦わら一味で楽しく』でした

………これまた四字熟語と合ってないような

それどころか一味全員出すことができませんでしたッ!ごめんなさいッ!!

このような作品ですが気に入っていただけると嬉しいです


リクエストありがとうございました!!