「………おい」 「はっ、」 「は、じゃねぇ。何で人の上に乗ってんだ、シてぇのか？」 「んなっ！？ば、ばか！そんな…ぅぁあ…ッ！？」 寝起きはしんどいんだがな。そう言って帽子のない頭を掻いた 無断で入ることは許されない船長室に、おれ以外で唯一自由に出入りできる女、じゅうまんだ じゅうまんだは顔を真っ赤にし、キョドってから盛大に落ちた どこから？寝ていたおれの上、つまりソファーから ぶつけたのか頭を抱えながらうずくまっているじゅうまんだ（楽しそうだな、お前）を、見下ろしながらあくびを一つ 「ふわぁ…何も悪さしてねぇだろうな」 ビクッ 「………………あ？」 何気なく聞いてみたら小さな体が大きく揺れた。その様子におれはじゅうまんだを睨むように見る 「おい」 「……………」 「おい、」 「…ナンニモシテナイヨ」 「そうか、さっさと吐け」 おれが笑ってるうちに 「"ＲＯＯＭ"」と呟き刀に手をかける 「最初っから笑ってないじゃん！」と言いながら飛び起きたじゅうまんだは、床に落ちていたのか、片手にペンを握りつき出しながら距離を置いた ほぉ、抵抗するのか 「こっちにこい、しっかり躾てやる」 「け、けけけ結構です！」 「遠慮するな、暇だろ？おれも暇なんだよ」 「暇じゃないもん！こ、れからペンギンたちと掃除だもん！」 「…………おれが許す、サボれ」 「まじっすか」 掃除は仕方ねぇが、おれより他の野郎を優先されるのはイラッと、 「でもそのあとシャチの部屋いかなきゃだから」 「……あ゛？」 「今度ナンパするときの服を見てほしいんだって」 「………………」 んなもん今のツナギのまんまでいいだろうが 「みんなとトランプ大会もあるし」 お前、おれよりもそんなものを優先する気か？ 「あとベポとお昼寝」 ………それは和む、おれも混ぜろ じゃねぇ ズパッ 「ギャーーーっ！！」 じゅうまんだの頭と体が見事に切り離れた（…まぁ、やったのはおれだが） 「酷い！」と走り回る胴体を蹴り飛ばし、床にある頭を同じ目線になるよう持ち上げる 「あ、あぅあ…ロー、さん…いや、ローさま」 「さぁ、吐け」 「…………………」 「………"ＲＯＯ、」 「言います！言います！だからこれ以上はぁぁぁあ！！！」 恐怖からか羞恥からか、きっと両方からだろうが、顔を真っ赤にしたじゅうまんだはえぐえぐと泣く そして小さな声で「…鏡、見て、下サイ」と ………鏡ぃ？ テメェ、おれの顔にいったい何をし… ………………、 「……………ほぉ、」 「………………」 「………………」 「………………、」 「………………」 「……………ッ」 「………………」 「……………な、にか言ってよぉお！許してー！謝るから許してー！！」 「なんで謝る必要がある？」 「へ、…ッ！？」 じゅうまんだの体は遠くの床でずっこけているため、こいつはおれに対して何の抵抗もできない そんなじゅうまんだの唇に噛みついてやる 「むぐっ、ぅ…ふ、…っぷぁ！」 「くく、抵抗なんて無駄なことするな」 さて、と。しっかり答えてやらねぇとな 倒れている胴体から奪い取り、林檎のようなその頬に視線を向けた 「ろ、ぉ…さ、？」 「そう怯えるな、安心しろ」 ひでぇことは書かねぇよ そう言っておれの右頬に書かれていた文字と同じものを書いてやった 無我夢中 【むがむちゅう】 一つの事にすっかり心をとらわれて、我を忘れて行動すること 「あれぇ？二人の頬っぺたに何か書かれてるよ？」 「……て言うか、なんでじゅうまんだは首だけなんスか？」 「ぶわぁーん！助けろシャチー！！」 「無理！」 「キャプテン、なんで二人の頬っぺたに"スキ"って書いてあるの？」 「さぁ、なんでだと思う？」 「…うーん、よくわかんないけどキャプテン嬉しそうだからおれも嬉しい！」 「そうか」 「嬉しくない嬉しくない素直に喜べないお願いします胴体にくっ付けてくださいお願いします」 「身体中にも書いてやろうか？」 「ひやぁぁぁあ！止めてぇぇえ！！」 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ サクさんリクエストの「ローの嫉妬甘」でした 嫉妬？どこでした？いや、ちょこちょこ他のクルーたちに… 四字熟語？かすりもしてない？いや、その、「一つの事（ヒロイン）にすっかり心をとらわれて、我を忘れて（キャラじゃない）行動すること」 み、みたいな？ ………はい、すみません。書ききってから四字熟語に沿ってないことに気づきました… 完成も遅れるし、いろいろとすみません…！でも気持ちだけは、気持ちだけはあります！！ 謝りたいことがたくさんありますが…リクエストの方ありがとうございました＾＾ こんなだらしない管理人ですがよければこれからもよろしくお願いします！