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「#幼馴染」のBL小説を読む
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探して探して、探し回ってようやく見付けた

言いたいことはいろいろあったけど、とりあえず


一発殴らして下さい








―――――………



買う物もねぇし、昼寝もする気分じゃねぇし…そうだな、それじゃあ散歩でもすっか


そう言ってたまには船から降りてみた今回。出ていくとき何故か全員に必死で止められたが、イラッとしたので全力で無視してやった


迷子になるだぁ?ふざけんなっつーの、街まで一本道なのにどう迷子になれってんだ

馬鹿にすんじゃねぇ


……んでだ、話は変わるがよ


「…ここの街は移動すんのか?」


真っ直ぐ歩いていたのにたどり着いた先は森

不思議に思うも「まぁグランドラインだしな、仕方ねぇ」と割りきっておいた


さて、どうすっかな


利き手で頭を掻き、辺りを見回す。人工物が一切見当たらないが、当初の目的は散歩なので対して困らない


今度は好きな方向に行くか、そう思って足を上げるも地に付けた瞬間固まる


辺りは森

草木ばかりで人影一つない


しかし背後に感じるのは殺気


野生の動物か何かか?それなら隠れ方が上手すぎる。その程度に気付かねぇおれじゃねぇ

なら人間か?だとしたらそこそこ出来るな。今の今まで気付かなかったんだ


散歩して、街がないと言うハプニングあって、そんな中見付けた最高の暇潰し


最近海軍共も見てなかったからな、ちょうどいい


そう思って相手が飛び出してきたと同時に抜刀してやった


が、





「い゛っ!?お前は…!!!」

「ゾロの…っぶわぁぁあっか!!」

「ぐっは!」


抜いた刀を振り下ろすことが出来ず、右頬に重い一撃を頂いた

殴られたところに手を当てながら、目の前人物を見つめる


そこにいるのはどう見ても


「…おま、じゅうまんだか!?」

「そうだよ?まさか忘れた?」


同じ故郷を持つ幼なじみがいた(な、んでこんなとこに!?)







―――――………



「なんでここに…!?」目を丸くさせながら驚く幼なじみに、また頬に一撃喰らわせたくなった

漸く見つけることができ、思わず涙を流しながら説明をしてやる


「…ずび、ちょっとその辺までって、言って…っぐす、ずっと帰ってこないんだから…。そのまま待ってたら、手配書、届くし…」

「あー…」


なんだその返事は

気まずそうに目を反らすな、目を!こっちを見なさい!!


小さい頃からの付き合いの彼。だからこうなった理由わかる、というかこれしかない

どうせ今回も迷子になったのだ(その証拠に視線がキョロキョロと動いている)


彼の方向音痴は最早神業、いや病気だから仕方がない。しかし、だ

何故海賊になって、故郷に帰らず、このグランドラインにいるのだろう





………うん、わかってる。ゾロには叶えたい夢があるから(今回のこれも、そのため)(きっと、)(…いや、絶対)


わかっている、が何も言わずに出ていかれてしまって悲しかった私がここにいる


「…あの、よ」


恐る恐る、彼には似合わない小声で声をかけてきた


「何も言わねぇで出ていったことは謝る、悪かった」


全くだ

今までどんな思いで過ごしてきたと思ってる


「でもよ、お前のことは忘れたことねぇ。何も言わずに来たこともずっと心残りだったし」


………あ、なんかその言葉聞けただけで満足かも

すっごく嬉しい


「…それにぜってぇ帰ってくる自信があった」

「…あー、さすがゾロだねぇ」

「………誉めてんのか?それ」

「誉めてる誉めてるー」


スッと目を細め、眉間にシワを寄せる。久方ぶりに見るその表情に笑いが零れた


「ふっ、く…っ」

「…何笑ってんだよ」

「いやぁ、何でだろ」

「あ?」

「多分、幸せだからじゃないかなぁ」


ゾロがいなくなって、寂しくて悲しくて

我慢できなくなって私も故郷を飛び出した

彼に追い付くまでもちろん楽なんてことはなかったけど、今この瞬間のお陰で今までの苦労は消し飛んだ


「本当によく生きてたなぁ私。ラッキーガールだよ、物凄くツイてたよ」

「………はぁ、」

「へへへ、この旅で大分たくましくなったでしょ」


ぐっと腕に力を込めれば盛り上がる腕。へにょへにょだった頃と比べると本当に成長したと思う


その腕を得意気に相手に見せていると、大きな手でゆっくりと下に下ろされた

そしてそのまま両手をギュッと握られる(え?え?)


「…………あー、っと。まずは、その…礼を言う。アリガトウ」

「…片言だね」

「うっせ!」


というか何に対してのお礼?


「んで、もう危ねぇことはしないでくれ」

「へ、」

「グランドラインを一人旅とか危険以外の何でもねぇだろ。マジお前一生分の運使い切ったな」

「………………」


いや、まぁ、その…


誰のせいだ、誰の


大きな声でツッコミを入れたかったが、相手が真顔なので我慢する


「…そんな運を使い切った不幸女のじゅうまんださん」

「言い過ぎじゃない?」


やっぱ我慢できませんでした。よっし、この手離れたらパンチだな


「おれ多分まだ使い切ってねぇから、」

「なにを?」

「運を」


そうか、なら蹴りも追加しよう。それぐらいは許されるよね、じゅうまんだ


離す気配のない手を振りほどき、先程よりも強めに殴ってやろうかと拳を作る


「ゾロ、とりあえず歯ぁくいしば…」





「ずっと一緒にいろよ」





……………、


「…………は?」

「おれが運をわけてやらぁ。そうすりゃ不幸から幸せに早変わりだろ」

「…………は?」

「悪かったな、一人にさせて」

「……………は?」





ゾロさん、ゾロさん。突然どうしたの?頭打った?

今まで話してただろうが、いつ打ったってんだよ

いやいやいや、だって突然何を言い出すのさ

突然って。いや、だってよぉ





「危ない目に遭うってわかってんのに…おれを想ってここまで来たじゅうまんだがなんか、

無性に可愛く思えた」

「………………」

「照れんな」


無茶言うな

てかなんであんたは平気なのさ。こんなこと平然と言える性格じゃないでしょうよ


「じゅうまんだじゅうまんだ、」

「…なんでしょう」

「返事は?」

「……………」


わかりきってることを聞く…


一度振りほどいた手を、大きな手に重ねる。同時に頭を固い胸板に寄り掛からせてみた





「それじゃあ、私の残りの運勢アップの方を、よろしくお願いします」

「おぉ、責任持って幸せを分けてやるよ」





一心同体
【いっしんどうたい】
他人どうしが心も体も一つに結ばれること



小せぇ頃に生まれたこの気持ちは、会っていなかったこの数ヶ月の間に大分成長していたらしい


追いかけてきたじゅうまんだが愛しくて…心配もあっけどそれ以上に


寄り掛かってきた彼女を潰さぬよう、優しく抱き締めると甘い匂いがした


んで、抱き心地がめっちゃいい


…………あー、やべぇ





おれも運、今使い切ったかもしんねぇ







__________

心愛さんよりリクエストを頂きました!ありがとうございます

リクエストメールが流れてしまったため細かい設定がわからなくなってしまいましたが、とりあえずがんばって甘くしてみました!…いや本当すみません

糖度がまだ低い気がします。……ゾロさんもキャラじゃない気がします

…………完成まで大分かかってしまい申し訳ありませんでした

拙い作品ですがどうぞ!これからも当サイトをよろしくお願いします^^