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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -



いつでも、どこでも、いかなる場合でも

心を乱しちゃならねぇ

一瞬の隙が命取りだ


「ウソップ隊長!ゴム怪人の猛攻に耐えきれません!」

「えぇい!耐えるんだ!勝機は必ず訪れるぞ!撃ち続けろー!!」

「イエッサー!!」

「はっはっはっはっは!そんな攻撃が当たるかぁー!」





「………んん゛っ!」


気にするな、声を聞くな、姿を見るな

心を無にしろおれ!!





ゾロの咳払いが響くが、三人の声には敵わず誰の耳にも届かない

胡座をかき、静かに目を閉じる彼の努力は誰にも伝わらないだろう


19年間、最強の座を目指していたゾロ。今でもその目標は変わらないが…最近修行に身が入らない状態だった

原因は彼の想い人


漸く己の気持ちを受け止めたのはまだ記憶に新しい


欲しいモノは全部手にいれてやる


そう、受け止めたとこまではよかった


しかし、だ





「……ちくしょう」


まさかこんなにあの馬鹿に振り回されるとは思ってもなかった


笑った顔に、怒った顔に、後ろ姿に、声に…あの馬鹿の起こすアクション全てに意識が持っていかれる(今だって)


あ゛ぁ、ダメだこれは

こんなんじゃまた鷹の目に斬られちまう


………いや、いっそ斬られた方がいいのか?


自分の未熟さを改めて理解させられた。落ち込んではいるが…気付くことができたわけだし、これからどうにかすりゃあいい


先ずはあいつ相手に動揺しないとこからだな(あぁ、先がなげぇや)





ばしゃっ


「……………」





胡座をかくゾロの顔面が水でびしょびしょになった

突然のことに思わず真顔になっている


「………た、隊長ォォオ!!一般人に被害がっ、流れ弾がァァア!!」

「しまったァァア!」


ゾロが濡れたのはもちろん先程の三人のせい。じゅうまんだの手の中にある水鉄砲(ウソップ作)が誤ってこちらに発射されたようだ


いつもならここで怒鳴り声の一つや二つ上げる彼だがピクリとも動かない

いつもと違う彼の様子に三人も気づき首を傾げる


「ゾロ?どうした?」

「おめぇも水に弱かったのか?」

「もしもーし、ゾロさーん?」







おいおいおいおい…嘘だろ、おれ

どんだけ腑抜けてたんだよ


じゅうまんだ相手に振り回されてばっかりだった、認める

そのせいで修行をまともにしてなかった、それも認める


でもまさか


この程度の攻撃(水鉄砲)をくらうなんて!!


あまりのショックに当の本人たちに怒ることなんて出来ず、思わず


「……………はっ」

「「「!!」」」


笑ってしまった


目の前で馬鹿共が「ゾロさんが!ゾロさんが!」「おいじゅうまんだ!お前何したんだよ!」「何もしてないよ!…水かけたことを以外」「「それだっ」」「え?」そんな会話を繰り広げているが、聞くにもなれない

これから本腰入れて自分のだらけきった気持ちを叩き直さねば、しかし今は落ち込ませてくれ


項垂れる、までは行かないが少し首が傾いた





「ほら見ろ!やっぱり水がダメだったんだ」

「泣いちゃった?ゾロさん泣いちゃったの!?」

「じゅうまんだ、謝ってこい!」

「う……ゾ、ゾロさぁぁぁあん!!!」



「…あ?んだ、」

「ごめんなさいぃぃい!!」

「よ…?」


叫ぶように名前を呼ばれ、視線を向ける。そこには涙を滝のように流すじゅうまんだが


……つぅか、ちけぇ


「わ、わらとらなりるれろぉ…!!」

「…なんて?」


涙声で、とか言うレベルを越えた聞き取りにくさ

それでも一生懸命伝えようとしてくる(が、まったくわからん)(…とりあえず謝罪なんだろうけど)


「もうやららるれろ…!!」

「…お前、わざとか?」

「うぅ…っ」


て言うか、この程度のことでんな怒らねぇよ


その意思を伝え、頭を二三回軽く叩く。すると涙でグシャグシャの顔に笑顔が戻ってきた


「よがったぁ…!」

「………………」


パッと輝くじゅうまんだ(…今、花見えたぞ?)

……ちなみに今こいつとの距離はいつも以上に近い、戸惑うぐらいに

なのでその不意打ちに思わずおれは


スパーンッ!


「「!!」」





「……………」

「…………あ、」


しまった、つい反射で


頭を傾けるじゅうまんだ、じんじんする自分の手の平、驚き固まるルフィにウソップ


そして


「……………」

「じゅうまんだ、その、これはな…」

「………………っ」


あ、やべ

充電始まった





四苦八苦
【しくはっく】
ものごとが思うようにいかず、あれこれと苦しむこと



涙や鼻水で汚いはずなのに、そのグシャグシャの笑った顔に戸惑っちまうのは……惚れた弱味ってやつなのか?


………勘弁してくれ


でもその繕わないところに惚れたのも事実なんだよなぁ


…………でも


「ごめならりら、るれー!」

「だぁかぁら…っ、ちゃんとした言葉をしゃべれっつーの!」

「ぶわぁぁあぁん!!!」

「だあぁぁ…!泣くなっ!」


やっぱり少しは繕ってくれ!







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さくらさんからリクエストを頂きました

連載主に悶える、とのことですが…も、悶えてねぇぇぇえ!な、状態に。どうして思うように打てないの私!

修行をがんばるけど、主のことが頭をちらついて集中できない(悶える)

みたいにしたかったんですが……お話って難しいと再確認


そして申し訳ないことに完成が遅すぎたせいで頂いたメールが流れてしまいました

私の馬鹿!

残ってたメモで書かせていただきましたが、リクエストにしっかり答えられているかが心配です。内容と異なってたら本当にすみません

このようなことになってしまいましたが、受け取ってくれたら嬉しいです


それでは、リクエストありがとうございました!