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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -

〈ダン視点〉


自分のことは自分が一番わかってる

わかった上でおれはそれをしていたんだ

それが体に悪いことであろうと


そんなこと止めろって?

……簡単に止められたら苦労はねぇっつーの

もうこれがないとおれはイライラするんだよ








………それなのに


「あ゛ー…ッ!!誰かおれにタバコをォォオ!!」

「ない」


なんでなくなった!


短い髪を掻きむしりながら叫ぶ

横のマイルが鬱陶しそうにこちらを見てくるが、イライラするんだから仕方がない


原因は今言ったように、タバコ

買い置きしていると思っていたタバコが実はなかったのだ(なんつぅ凡ミス!)


「ちくしょう、何で誰も持ってねぇんだし!」

「ダン以外誰も吸わないからね。ていうか、これを機会に止めたら?」

「無理、ぜってぇ無理」


おれのニコチンに対しての依存度なめんなよ


そう力なく呟きテーブルの上に額を押し当てた


先程電伝虫でローグタウンへ買い出しに行っているリダムさんに、タバコを買ってきてくれと頼んだのでこの苦しみも本日限り


だが、それでもしんどいものはしんどい


「全く…いくら騒いだってリダムさんが帰ってこないとないんだからね」

「おー…」

「……………はぁ、まぁいいや。とりあえずおれも出掛けてくるけど、家の中で暴れないでよ?」

「おー…」


マイルの言葉に力なく返事する

そんなだらしないおれの姿に呆れながら、マイルは家を出て行った


静かなこの空間


いつもならタバコ片手にのんびりとくつろぐのだが……あぁくそ、タバコォー


いくら嘆いてもタバコはこない、そんなことはわかっているがきっとおれは吸えるまで嘆くだろう


「じゃあ代わりのもの食べれば?飴ちゃんあげよっか?」

「いや、代わりって言ってもなぁ……それにあれは食べてんじゃなくて吸って…………ん?」


今の、誰?


「そうかー、あれ食べてるんじゃないのかぁ」

「……アルト」


おれ以外いないと思っていたのに会話が成立した

不思議に思い顔をあげると飴を片手に難しい顔をしているアルトがいた


「……なにしてんだお前」

「ダンさんをニコニコにしましょう作戦を考え中なの」


…………そッスか

でもその手の中の食いかけの飴はいらねぇからな


そう呟いて上げてた顔をまた下げる(アルトにゃわりぃが、構ってやる元気はねぇ)


一秒が一時間、一分が一日のような感覚


自分でも、タバコは止めた方がいいかもしれない、なんて思い始めた頃、ポンポンと肩を叩かれた

めんどくさくてその呼び掛けをシカトしていたら、無理矢理頭を上げられて口に何かが突っ込まれた


「………………ちょ、おいアルト。お前は何がしてぇんだよ」

「だからぁ、ダンさんをニコニコさせたいの!」

「………で、この口の花は?」

「花じゃないよ!タバコだよ!」


いや、花だから

しかも名も無きただの雑草だから


アルトから口に突っ込まれたもの、それはそこら辺に咲いている白い花だった


タバコって……だから代わりのもんじゃダメだって言ってんだろうが


「元気出た?」

「あ?」

「ダンさん元気ないと悲しいの、だからそれで元気だして?」


眉をハの字にし、今にも泣きそうなアルト

慌てて頭を撫でてやると「元気、出た?」と小さな声で聞いてきたので頷いてやる


すると、泣きそうな顔が一変し輝くような笑顔に変わった


「よかったぁ!!」


わーい!と言いながら手をあげるアルト

突然の変わりようにパチクリさせるも、直ぐに頭を再び撫でてやる








タバコはやめらんねぇが………まぁ、今日ぐれぇはこれで我慢してやっかな


弧を描くおれの口元がくわえる一輪の白い花

今この一瞬だけかもしれないが、タバコより何倍も上手いと感じた





白い花+おれ

=体に優しいタバコ



(ほーら、ダンー!買ってきたぞー!)(あんがとさん)(…え?花くわえてどうしたの?)(あー?気分だよ、気分)(どんな気分?)


(なんだかんだで、)(おれもあいつに甘いんだよな)







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タバコがなくて苦しむオッサンを書きたかったのに、どうしてこうなった

そして話がまとまらない




少しばかし書き直しました