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- ナノ -

〈マイル視点〉


この島に来てもうしばらく経つ

近くにローグタウンがあるにも関わらずここは田舎で、そして平和そのもの

初めは刺激がなくてつまらなかったが、直ぐに楽しいと思えることを見つけた





「何してんだよ」

「あ、ダン」


家の窓縁に肘を置き外を眺めていたおれ

いつの間にか背後にいたダンに視線を向けるが、直ぐにもとに戻し再び外を眺める


何してるって、そりゃあ見たまんまじゃないか


「アルト」

「んあ?」

「見てるの」


外でちまちまと動き回る白い頭を見ていると、口元が勝手に綻んでくる(あぁ、)(かわいいなぁ)


ほう、と興味があるのかないのかわからない態度でダンもおれの後ろから外を見る

若干煙草の煙が鬱陶しいがそこは大目にみてやった


「………つーか、あのチビの方は何してんだ」

「んー、見た感じだと何かを追いかけてるね」


なんだろう、ちっちゃいから見にくいな


それでも気になるので目を凝らしてみると、蝶を追いかけてるのがわかった(それも笑顔で)


「……あーもー」


癒されるなぁ


ちっちゃい子はもとから好きだったけど、あの子はその中でも飛び抜けて好きだ


一緒に遊んだりするのが楽しい

成長していく様子を見ていくのが楽しい


毎日が楽しい


「ねぇ、ダン。おれここに来てよかった」


あの子に、あの親子に会えて本当によかった


「そーだな」

「ダンは?」

「……言わなくてもわかるだろ」

「うん」


目が優しくなったもんね

今だって蝶を捕まえようと駆けずり回ってるアルトを見てる目が優しいよ(わかりにくいけど)(おれにはわかる)



大の大人が二人揃って微笑みながら子供を眺める

そんなことをおれらがするなんて、昔じゃ想像すら出来なかった


それもこれも


「アルトのおかげかな」

「あぁ、あのバカ面のおかげだな」

「バ…純粋とか言えないの?」

「ケッ」

「うわ、素直じゃっ…」


パァァアンッ!!


「な、……い…」

「………………」













「ダンさーん!マイルさーん!チョウチョさん捕まえたぁ!!」




「………………」

「………純粋、ねぇ」





平和+幸せ

=君のおかげ



(今、パァン!ってスッゴい音が…)(あいつ、蚊を潰す勢いで蝶を…)


(見て見てー!アルトみたいにね真っ白なの!)(ちょ、ストップ!)(その手開いちゃダメ!)