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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -

〈カント視点〉


一人で海に出るのは怖い

海賊とか、なんでいるの

みんなと離れたくない


そう言って海に出てまであの人を探さなかった

そんなアルトが突然海に一人で行き、この島を出ていってしまったのが昨日


ダンさんらの家に集まり緊急家族会議なるものを開くが、皆が黙りこみ静かな空間になってしまっている

マイルさんが静かに腕をくみ、ボソリと呟いた


「……ダンのせいだ」

「んなっ!?」

「そッスよ」

「喧嘩なんきゃしなきゃ…」


マイルさんに続くようにメカとルーもダンさんを責める

ダンさんもダンさんで自分との喧嘩のせいだと半ば思っていたらしく、表情を歪ませて何も言わない


確かに、アルトが出ていったのはダンさんのせいだろうが……今すべきことは


「どうやってアルトを見つけるか」





小さく呟いてもこの静かさなら全員に伝わっただろう

ダンさんが口に含んだ煙を吐き出し話し始めた


「やみくもに探したって無理だ、まずは情報を集める」

「ッじゃあ今から…!」

「用意してからだ」

「ッ!!」


航海はなめていると、直ぐに命を落とす

それが例えイーストブルーでも


だからダンさんもこう言っているのだろうが…


「念のため島で待ってる人もいた方がいいと思うんだけど…」

「あぁ、そうだな」





「「…ッふざけんな!」」


そんなこと、言ってる暇すら本当はないんだ

島の周りを見てみてもアルトはいなかった

だから遠くへ行ってしまったとおれらは思っている



しかし心の底では、もう……


「そんなのんびりしてる暇ねぇだろ!?」

「今すぐ行って探すべきなんじゃねぇのかよ!?」

「落ち着けお前ら」

「「落ち着いてるッ!!」」


怒鳴る二人に、どこが落ち着いてんだよ、という顔をするダンさん

マイルさんも宥めようとするのだが


「…もう、いいッス」

「…おれらだけで行きますから」

「え、ちょ…!」


最後にお辞儀を一つして、二人は飛び出していった

唖然とするマイルさんと、眉間を押さえるダンさん(いつもすいません)


「ッんの馬鹿二人…おいカント、行ってこい」

「はい」

「絶対止めてこいよ、あいつらに航海知識があるわけねぇ」


はぁ、とため息を吐き新たな煙草に火を点けた

煙草の煙が充満していたので、扉を開けたまま外に出た



さっきの二人は彼の落ち着きように腹が立ったのだろう


………まったく、洞察力に欠けるというか…



我慢出来ずに島を飛び出そうとしている二人

終始表情の険しいマイルさん

そして、確実にいつもより煙草の本数が多かったダンさん


男は単純な生き物と聞いたことがあるが








「……その通りだな」

「!」

「カントッ!」


なんだかんだでおれらの中心は、アルトだったことが改めてよくわかった


いそいそと船の準備をしている二人の背後に立てば、睨み付けるような視線が二つ

その視線を無視しながらおれは静かに笑った


「止めに来たのかよ」

「言っとくが無駄だからな、おれらはなにがなんでも…」





「金」

「「…………あ?」」





「コンパス、地図、水、食料……それらが必要だが、まぁないだろうな」


とりあえずコンパスと地図は持ってきたから近場から攻めてくぞ


そう言ってアホ面二人が乗っている船に飛び乗った




……結局はおれも落ち着いちゃいないってことだな


「金はそこらの賞金首を倒せば大丈夫だろう」


さぁ、行くか


ふん、と笑い帆を張る

風の動き等を見ながら、手始めにローグタウンを目指すかなんて思っていると両サイドから肩を組まれた


「くっくっく…そうだよな、おれら三人でこうだよな」

「お前がまともなわけねぇ!」

「一番まともじゃないのはルー、お前だから」

「なにっ!?」

「はっはっはっは!」





ダンさん、マイルさんもしかして怒ってますか?

でも約束破っちゃいませんよ?


おれはあんたの『行ってこい』には返事をしたが、『絶対止めてこい』には返事してませんから


では、行ってきます





おれ+二人

=探し物はかわいい妹



(…ふふ、悪ガキ共ですいません)

(ん?なんか言ったか?)(ルーの顔がキショイって言ったんだろ?)(んだとこら!?)(正解)(おいぃぃい!!)