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「もう我慢ならん!」

「…んだよい」

「お話があります!ちょっと来なさい!」


のんびりとコーヒー片手に本を読んでいたら、サッチの野郎に捕まった

食堂にいたことを後悔しながら特別抵抗を見せずに引きずられていく


着いた先はサッチの部屋

半ば放り込まれる形で入れられ頭に来るが、いつになく真剣な顔なのでそこは黙って椅子に座る


「単刀直入に言います」

「おぉ」

「マルコくん、ちみ…告白しちゃいなさい」

「……………………………………よい?」

「告白しちゃいなさい」

「…………………」

「つーか、しろ」


誰が?誰に?

マルコが、あの娘に


あの娘?



こいつと二人っきりの空間で徐々に顔に熱が集まっていく(周りから見たら気持ち悪いだろうな)

しかし、己の意思とは関係なしになるのだから仕方ないだろう


「お前ら見てるともどかしくてイライラすんだよ」

「…すいません」

「男のくせに煮えきらねぇし」

「…よい」

「さっさと告白しちまえ!」


………なぁ、サッチ

それができれば苦労はねぇんだよ…!


足に腕をつけながら項垂れる

そんなおれを見て腕を組ながらのけ反り馬鹿だの阿呆だの暴言を吐くサッチ(チクショウ、今がチャンスとばかりに…)


それでもムカついてこないのは、今の頭の中の九割以上があいつのことをしめているからだと思う


「うじうじうじうじ…乙女じゃねぇんだから!そんなんオッサンがやっても気持ち悪いだけなんだよっ」


とどめの一言

グサリと胸に突き刺さり、おれのライフはゼロに…





バンッ!


「え?」

「サッチ隊長の、馬鹿ぁぁあぁあ!!」

「オプッ!」



「………ごまんだ?」


なんで、ここに?

ドアを壊さんばかりに飛び込んできたのは、あの娘でありあいつであるごまんだ

突然のことに目をぱちくりさせるおれと、タックルを喰らったサッチ


「え、えーと?ごまんだちゃん、だよね?」

「はい、あってます!」

「な、何でこんなことを…?」


おれ、君とは殆ど初対面なんだけどなー、とぼやくサッチをごまんだはキッ!と睨んでおれを庇うように前に立った(……なんでだよい?)





「だって…サッチ隊長、マルコ隊長のことイジメてるじゃないですか!!」


は?


「私っ、マルコ隊長がこんなに落ち込んでるの初めて見ますよ!?」


……えーと、つまり?


ごまんだは項垂れるおれを見て勘違いをしている、と





…必死の弁解も聞いてもらえないサッチには申し訳ないが、おれとしては物凄く嬉しい

ライフもゼロから急激に回復していく感じだ


照れながら頭を掻いていたら、ごまんだ越しにサッチと目が合い口パクで何かを伝えてきた


首をかしげて数秒、言葉が分かりまた顔を赤らめる

嫌だ、と言う意思を伝えようにもごまんだに叩かれているため今はこっちを見ていない


…………覚悟、決めるのかい


深呼吸を数回し、ごまんだを呼ぶ


やってやる、やってやるよい

おれだって男なんっ…


「はい、なんですか?」

「…………………」






















「…いつもサポート、ありがとよい」

「えっ?あ、はい!」

「感謝してる、よい」

「当然ですよ!隊員が隊長をサポートするのは!」

「………よい」

「隊長?なんで落ち込んで……?」





「マァルクォォォオォオ!!!」

「仕方ねぇだろい!」

「ざけんなぁぁあ!テメッ、おれの印象と引き換えにチャンスをやったってぇのに!」

「サッチ隊長!なんでマルコ隊長に掴みかかってるんですか!?」

「こいつが!こいつが悪いんだぁぁあ!」


サッチが口パクで伝えてきたのは『こくはくしろ』の六文字

ムードもなにもありゃしないが、ここで逃げてちゃいつまでたっても告白なんかできないと思い覚悟を決めた……が


ごまんだの顔を見たらそんなもの、どこかへ吹き飛んでしまった


当然サッチはキレ、おれも開き直って奴のリーゼントを鷲掴む

ごまんだもサッチを引きはなそうと加わり、狭い部屋の中で大暴れ




この騒ぎは、イゾウがたまたま部屋の前を通りかかるまで続いた









「…………楽しそうだな、お前ら」