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自分は白ひげを支える隊長の一人だが、今までここまで頭を悩ませたことはあっただろうか


………ないな、多分


ふう、とため息を吐き自室の机に突っ伏した



何故おれがこんなに悩んでいるかと言うと……あれだ、その…





…………うん、………ごまんだの、ことだ、よい


脳内に浮かぶ彼女の顔により頬に熱が集まっているのは気のせいではないだろう

そこら辺の自覚はある





………あぁ、あと

自分のダメさも自覚済みだよい


想像だけでこんなに照れているのに、本人が目の前にいようものなら……


先月だって取り乱さぬよう努力したが、ごまんだの言葉を聞いたらそんな努力は無駄だった(嬉しくて、恥ずかしくて、照れ臭くて)(頭が真っ白)(…だよい)


…………あぁ、話が少し反れたかねい

とりあえず今回何に悩んでいるかと言うと


バレンタインのお返しだ


あのとき、ごまんだが作ったカップケーキがおれ以外の手に渡るのが悔しかったから強引に奪った

それだったら"別にお前宛のじゃねぇんだからお返しなんか要らねぇよ"みたいな感じで済むだろう(もちろん、ごまんだはそんなこと言わねぇよい)


しかし、実はそのケーキはおれへあげる物だったらしい(……奪わなきゃよかったよい)


………だったらお返しはとうぜんだろい?


そう思い悩み続けて1ヶ月

男のお返しデーが来てしまった


来てしまった、が


「………まだ、決まってないよい」


ボソリと呟いた一言に泣きそうになってしまった自分が、心の底から気持ち悪い(おれはいくつだいっ!)


仕方ねぇ、最終手段だ



本人に聞こう









コンコン


「マルコ隊長?いますか?」

「!」


使えない頭に嫌気がさしたとき聞こえたノック音に、女の声

その声の主は、今悩んでいた原因の人物で


「…い、いませんか?」

「…………いる、よい」


おれの隊のごまんだ("おれの"、か)(…はぁ、口に出してぇな)

静かに開かれた扉から遠慮がちに入ってきたごまんだは申し訳なさそうに眉を下げている


「あの…これ、マルコ隊長に渡してくれって」


サッチ隊長が


差し出されたそれを受けとる

……それは、数枚の書類だった(しかも真っ白)


………まさかこうも堂々と押し付けてくるとはなぁ…!


隅っこに"ヨロピコ"という文字とムカつく似顔絵があるその書類を見て怒りが込み上げてきた


とりあえず、海に蹴り飛ばすのは確定だよい


ついでにリーゼントも燃やすか、なんて思いながら書類を机に叩きつけた

それを見たごまんだは怒っていると思ったらしく(…いや、まぁあのアホには怒ってるけどねい)


「…て、手伝いましょうか?」


なんておそるおそる聞いてきた


…正直言ってその気持ちだけでも救われた気がする


自分の顔に熱が集まらないことを祈りながら扉前のごまんだにおいでおいでと手招きをした


「手伝いはいいよい、あのアホにしっかりやらせるから」

「わ、わかりました…」

「それより……」


…落ち着け自分、自然に

自然に聞けばいいんだよい


「…………その、先月バレンタインに貰っただろい?」

「え、あ…はい」

「そのお返しがしたいんだが、何か欲しいものはあるかい?」


なんでもいいぞ


そう言って彼女に笑いかけるおれは自分で自分を褒めていた(よし!落ち着いてるよいっ、おれ!)

その言葉に目を見開いたごまんだは、ボッと顔を赤くし何故だかモジモジし始めた(…そ、そんな姿もかわいいよい)


「な、なんでも……いいんです、か?」

「まぁ、限度はあるけどねい」

「……………あの、ですね」

「ん?」













「不死鳥姿の隊長を…ギュッてした、いんです…け、ど……」


いいですか?







「…………………」






ここが自分の部屋でなければ、飛んで逃げ出していただろう(落ち着きなんて、所詮上辺だけ)

とりあえずおれは、真っ赤な顔で頷くことしかできなかった








その後クルーの間では、一人の女が落ち着きのない青い鳥を甲板で抱えていた話で持ち切りになったそうだ