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時刻は深夜

いつもは見張りの野郎以外は全員寝ているが、この日は違った


春夏秋冬、なんてグランドラインの海で生活してるおれらにとっちゃ関係のないこと

関係はない、だがそれでも月日は巡る


「オヤジ!酒はほどほどにしろよ!」

「今日ぐれぇ大目に見やがれ」


次が夏島らしく、夜中でも寒くはない

どうやら何度目になるかわからない年越しは、外で寝過ごしても平気そうだ


テメェの体調も管理できねぇハナッタレ共だからなぁ

親としちゃあ心配だ


そう笑いながら、この前風邪を引いてぶっ倒れた一人の息子に視線を向ける

我が家族の中でも年長組に入るというのに、自分が惚れた女に振り回されている姿を見ると笑いが込み上げてくる


現に今だって、顔を真っ赤にしやがって…


「なぁなぁオヤジ!年変わる瞬間に花火あげていいか!?」

「……エース、おめぇどこから持ってきた」

「この前の島で見つけたんだ!」


なぁいいだろ!?そう言って目を輝かせる末っ子にも笑いがこぼれる

もちろん断る理由はまったくないので、でっけぇの頼むぞ、と言ってやると、任せろ!と言いながら用意しに走り出した





あぁ、何回こうして騒いできたかことか

あぁ、あと何回こうして騒げるのだろうか


自分の体は自分でわかる

息子らの泣き顔は見たくねぇが、こればっかりはどうしようもならない





「………そうだな」


欲しいものは手に入った

だから今ここで死んだとして、後悔するならばあと一つだけだ








「テメェらぁ!カウントダウンだぁ!」


じゅう!きゅう!と野蛮な男共が叫ぶ

毎年見てきたその光景

唯一違うのは、海を背に仲良く手を繋ぎながら座っている大小二つの影








海賊やってるおれらだ

危険なんざ隣り合わせで、いつ死ぬかわかんねぇもんさ


でもよ、何やってても男は惚れた女を死ぬ気で幸せにしなきゃならねぇ




だからマルコ、その手ェ絶対離すんじゃねぇぞ




「…いち!ぜろォ!!」



ひゅー…

ドォォオン!!





「ハッピーニューイヤー!!」

「そしておれおめでとー!!」

「また今年も言ってんのかよ!!」





一年終わってまた一年

さて、今年の目標のためにあいつらにゃあがんばってもらわねぇとな









「グララララ…今年は孫が見てぇもんだなァ!」


なぁ、マルコにごまんだ!


船全体に聞こえるよう大きな声で叫んでやれば、おかしな声と水しぶきが二つあがった


グララララ!

落ちるときは手ェ離してやりなハナッタレ!!



どうやらあいつら二人のおかげで今年の初笑いは無事に済んだみてぇだ