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「マルコー!飲んでっかァ?」

「はいはい」


宴開始約三十分でべろんべろんに酔っぱらったサッチ

絡まれると厄介なので適当にあしらいながら自分もアルコールを口に流し込んだ




今日は毎月恒例の誕生日パーティー(という名の酒飲み会)

人数の多いおれら白ひげ海賊団は、その月に生まれた奴らを一気に祝う

そして今月は十月なので、その"奴ら"の中におれも含まれているのだ


つっても、この年になったらめでてぇのかわかんなくなるがな


世間一般じゃオッサンの部類に入る自分

年齢があがることについては素直に喜べないが、皆が祝ってくれるのは普通に嬉しい


「マルコマルコー!おれからのォ誕生日プレゼントだぜェ!」


こっち来るな、酔っぱらい


いつもならこのムカつく顔面に蹴りの一つでもくれてやるんだが…まぁ、今日ぐらいは大目にみて…







「この前の島で買った新鮮パイナップルだがばっ!」


綺麗に弧を描いて飛んでいくリーゼント野郎


…前言撤回たぁ、このことだねい


月明かりに照らされる薄暗い海に大きな水しぶきがあがった
















「た、隊長!」

「!」


宴で騒がしいこの中でもわかる声

近づいてくる気配に緩む頬を引き締めながらおれは振り向く


「ごまんだ」

「お誕生日、おめでとうございますっ」


ぺこり、と丁寧に頭まで下げるのはごまんだ

柔らかい髪を撫でながらその台詞に対してお礼を言った


「そのですね、別に言い訳とかそんなんじゃないんですが…あのー、その」

「?」


言いにくいことなのかい?

まぁ、ごまんだはきょどってるところもかわいッゲフガフ



……なんでもねぇよい


「…隊長すみません!」

「へ?」

「ぷ、プレゼント用意できませんでしたッ!」


ずっと考えたんですけど、いいのがまったくなくって!あぁ、その、言い訳ではなく、あの、その!


後半からもう文として成立していなかったが…言いてぇことはわかった

そんで、ごまんだが一生懸命考えてくれたこともわかった


だから、おれからすりゃあそれだけで十分だよい


ふっ、と口から笑いをこぼす

今なお必死に謝ってくるごまんだにおれの気持ちを伝えようと口を開く

開く、が


「だからですね!イゾウ隊長に何をあげたらいいか聞いたんですよ!」


……開く、が上手い具合に遮られた





いや、待て。そんなことより今なんて言った?

え?イゾウから聞いた?は?何を?


え、プレゼントを…?





い、嫌な予感しかしねぇよい…!!


ごまんだ関係で主にからかってくるのがサッチとイゾウだ

そんな奴に相談したとなると……あぁ、心なしか頬がひきつりやがる


おれの態度に気づかないごまんだは相変わらずおろおろしている

そして何か意を決したらしく、グッと握りこぶしを作っておれと視線を合わせた





「よ、よよ!よ…よかったらも、もらって下さい!」


私の唇を!!










「……………よい?」


今、なんて?


目の前で顔を真っ赤にするごまんだの言葉の意味が理解できない

というか、してはいけない気がする


しかし、そんな自分の意思に反しておれの脳はその言葉をしっかりと受け取り








「…って、ちょ!隊長!?なんで腕燃やしてるんですか!?」


顔を真っ赤にさせた(そして能力は軽く暴走した)









…あぁ、もう、くそっ

まだおれの半分以下しか生きてねぇ女に振り回されるなんて…





でも、悔しいってより嬉しいって思っちまうあたり、おれはもういろいろと手遅れなんだろうな





とりあえず数秒間黙り、どうすればいいか考え込んだ

無論、ヘタレなオッサンがこの嬉しすぎるプレゼントに耐えきれるはずがない




その証拠におれはいつの間にか海に飛び込んで逃げていた

遠退く意識の中で最後に頭に浮かんだのはごまんだの照れたような笑顔と、イゾウの野郎が爆笑している姿だった





………後者のは、いらねぇよい









「ぶふぅ…!!さ、最高だマルコ!!」

「い、イゾウ隊長!マルコ隊長が!言われた通りのことをやったらマルコ隊長が…!」