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寒いなぁ、なんて思っていたら突然降ってきた白い塊(そういえば航海士の人が冬島が近いって言ってたっけ)

最近見ていなかったそれに触れてみたくなった私は、しっかりと防寒具を身に付けてから外に出る

甲板に出てみると私と同じ考えを持ったであろう仲間たちがはしゃいでいた


飛び交う雪だまを見て笑うと息がほわっとこぼれた


「楽しそうだな…」

「お、ごまんだじゃねぇか!お前もやるか?雪合戦!」

「んー、遠慮します!」


見てる方が楽しいし

……それに、あんな速い雪だま、嫌だし


同じ隊の皆に乾いた笑いを送り、柵に腰掛ける

すると向こうの方から一人の男性がこちらに走り寄ってきた(え?え!?)


「あんたがごまんだか!?」

「は、はぁ…」

「へぇ!見た感じおれと年変わらねぇな!」


ほー、ふーん、なんていいながら全身を舐めるように見るこの人物

見知らぬ人ならパンチの一つでもくれてやるのだが


「い、一体なんなんですか?エース隊長」


……二番隊隊長の彼なのでそんな真似はできない

明らかに困惑の表情を浮かべる私に隊長は、わりぃわりぃ、とにこやかに言って首のマフラーを巻き直した(ちなみに隊長はいつもの格好に、薄い上着と赤いマフラーを追加しただけ)(…見てるこっちが寒い!)


「ん?いやー、あんたがマルコの彼女だって聞いたから気になってな」


思ってた以上にかわいい奴で驚いたぜ!と笑い私の頭をわしゃわしゃ撫でる

その行為も恥ずかしかったが…それ以上に今のその台詞は私の体温を上昇させた


……こ、この人天然だ

天然のタラシだ


顔を真っ赤にさせる私に首を傾げ不思議そうにする隊長を見て、確信する


「エース!ごまんだちゃん口説いてっとマルコに怒られるぜ!」

「口説いてねぇよアホサッチ!」

「んだと!?喰らえ雪だま!」

「ッあぶね!」


突然真横で開始された雪合戦

この空気を壊してくれたサッチ隊長に感謝しつつ、巻き込まれないようこの場を離れようとした


「あ!」

「え?…ぅぷっ!」

「…げ」


…ようとしたら、雪だまが私の顔面に当たった


………隊長たち、そんなに私をいじめて楽しいですか?


流石に苛立った私は顔の雪を払い落とし、目の前の二人をキッと睨んだ

が、すぐにその目は丸くなってしまう





何故かって?

それは…









ボッボボボ…!


白い世界に広がる青い炎

この状況ではなければ素直に綺麗だと思えた


「…………よぉ、今日は冷えるねい」


ボボボッ


燃え上がる炎、それ自体に熱はないはずなのにサッチ隊長とエース隊長は汗やら涙やらを穴という穴から出している


「ごまんだ」

「は、はいぃ!」


なんでしょうか!?


自分に来るとは思っていなかったので体が大きくビクついた

綺麗な炎出している人物、マルコ隊長はこの二人に見せた無表情から一変、うっすらと頬を染めいつもの優しい表情に戻して言った


「…後で、一緒にコーヒーでも飲むよい」

「え、」

「それとも、ココアがいいかい?」

「あ、じゃあココアで…」

「ん、なら先に中行っててくれねぇか?女は…その………か、体冷やすと赤ん坊が産め、ね…って…ナ、ナースが、よい…」

「………………」


誰がどう見ても、いや、見なくてもわかる

私の顔は今真っ赤だ


雪が溶けるんじゃないかと思うぐらい熱を持った頬を押さえながらは私はコクンと頷いた


「隊長も、すぐ来て下さいね」


温かいコーヒー、用意してますから、と言い残し私はこの場を足早に去っていった





ふふふ、隊長のために美味しいやつ作らなきゃ!



















「ケッ!なんでぇ、結局は惚気じゃねぇか」

「なんか見てるこっちまで恥ずかしくなるな…」

「…エース、お前顔真っ赤」

「サッチだって」





「……そうかい、なら」

「「!!」」


ボボッ


「「マルコさん…」」

「はっ…おれが冷やしてやるよい」





いやぁぁあぁぁぁ…!



















「?今悲鳴が…」


…………ま、いっか





温かいコーヒーとココアを一つずつ用意

まだ飲んでもいないのに身体の奥底が温かいのは……あなたのおかげです