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「まったく、どこいったんだか…」

「どこだー!いちまんー!」

「いちまんー」


「だぁ!もう!お前らそっちいくな!!」


グイッと腹に縛ってある縄が引っ張られる
左門と一緒にズルズルと作に引きずられながらいちまんを捜す


「まったく!いちまんの方向音痴っぷりには困ったな!」

「ホント、捜す身にもなってほしい」

「・・・・・」


学園長のお使い途中、迷子になってしまったいちまんを捜し始めてもう大分時間が経つ


泣き虫だからなぁ、いちまんは

一人で泣いてたり…


そう思ったら頭にその様子が浮かんできていてもたってもいられなくなり、走ろうとした


が、


「三之助ェェエ!!おまっ、どこ行くんだテメェ!!」

「ぅぐっ…!」


作に縛られているため、その場から走り出すことが出来なかった


「三之助、平気か?今ミシッて言ったぞ」

「…無理かも」


痛いって作

ちょっとは加減してくれ




ん?


「…………あ」


いた

いた、いた


見つけた


「………なぁ、作…」


捜している人物を見つけたので、作に知らせようと思ったのだが


……オレが、


オレが、見つけたんだ

1番に


だから、

声をかけるのも

いちまんに触れるのも

安心させるのも


オレが1番がいい


「…あ!こら!」


腹の縄を解き、いちまんのとこへ
作の声も聞こえたが、そんなことは気にしない


一人で泣いてるあいつのもとへ


「、いちまん」

「!ッ次、屋くん!」


木に体を預けながら体育座りをしているいちまん
頬を流れる涙を拭ってやると、泣き顔から一変し、笑顔になった


…これ、

これだ


この笑顔



これを独り占めしたかったんだ


「いちまん」

「?なあに??」

「もう迷子になるなよ」

「ふふっ、次屋くんに言われちゃった」

「ムッ、どういう意味だそれ」


いちまんとのたわいないこの会話


あー、
こう、なんか…その

胸の奥底からじわーっとくる暖かさ


心地良い


「三之助ー!」

「どこだあー!」


先程置いてきた二人の声がする
どんどん近づいてくるこの声の主たちとの距離はそう遠くないらしい


…二人には悪いけど
いま、邪魔だから


「いちまん」

「ん?」

「行こう」

「え?ッあ、わ!」


作、左門
夕飯前には帰るから

まだいちまんと二人っきりでいさしてくれ









手をつないで走ろう
君といっしょにいたいから



(右手の温もり)

(胸の鼓動に)

(この胸の感覚)

(よくわっかんねぇけど)

(…すっげぇいい気分)