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船長助け、子供を守れ



「なぁーアルトー、釣ってくれよー」

「…………」

「頼むよー」

「…………」

「アルトー」

「………釣りたくても出来ないんですよ」

「なんで!?」


あんたが餌を食いつくしたからだよ!


キッと一睨みして、ごろんと膝を抱えながら横になる


はぁあぁ…
町で買ってる暇なかったからなぁ


……あ!金持ってなかった!!


「アルトは釣りがすんげェうめェんだよ」

「へぇ」

「褒めてもなにも出ませんよー」

「んだよ、ケチだなー」


二人に背を向けていると、ルフィさんが頬を突いてきた
それにシカトしていたら抓ってきた

流石にイラッとしたので起き上がる


「なんなんれふか!」

「だって暇だから」

「こっちは寝るんですッ!」


頬を抓っている手を叩き落とし、再び寝転がる


次の島で絶対別れよう


そう心に誓いながら私は眠りに入った


あ!ふて寝じゃないからね!











――――……




「くぁー…」

「…ふて寝した」

「しっしっし!おもしれェだろ?」


さっきまで眉間にシワがあったのに、今はスジ一つない

ヨダレも垂れているので本当に寝ているのがわかる(つか、きたねぇ)


「なんでこいつを仲間にしたんだ?」

「したかったからだ!」

「いや…だから」

「したいと思ったからしたんだ!」

「・・・あぁ、そうかよ」


なるほど、こういう性格か

大変な船長に付いてきちまったかもな…


はぁ、とため息を付きながら横で寝ている奴に視線を移す


スヤスヤと幸せそうに縮こまりながら眠るこいつは、海賊なんて似合わない小さな子供

本人も言っている通り、海賊にはならない方がいいと思う


「…ん…なぁ…」

「ん?」

「どうした?」


幸せそうな表情が一変、眉がキュッと寄った

寝言も言っているようなので二人で覗き込む








「みん、なぁ…ッ…どこ…」

「「!」」

「一人は、ッヤダよぉ…!」


つつー、と閉じられた瞼から涙が零れ落ちる


「そういえば…アルトは遭難したって言ってた」

「ホームシックってとこか…」


キュッと膝を抱え小刻みに震えているところを見せられ、黙り込む


「よしよし」

「うっ…」


船長であるルフィが頭を撫でてやると、少し落ち着いたようだ

それを見て、この小さな子供を守らねば、と思った


小さな子供だからか、そんな使命感が生まれる




とりあえず、仲間である間は


「よし!アルトの為に飯を用意するぞ!」

「どーやってだよ」

「こうやるんだ!



ゴムゴムのロケット!!」


悪魔の実の能力者のこいつは帆を使って空に飛んでいった

目の前にいる鳥に向かって行ったのだが


「はっ!」

「はっ!?」









「ぎゃァァァア!助けてーッ!!」

「アホかーーーーっ!!」


飛び付きにいった鳥にくわえられ、連れていかれてしまった

あの船長でホントに平気なのか心配になりながら、オールを全力で漕ぎながら追いかける


「んー……なにごと…?」


どうやら振動で起きてしまったらしい

しかしまだ脳の方はハッキリしてないのか、寝ぼけ眼だ


「しっかり捕まっとけ!」

「?うん…?」

「おーーい!止まってくれェ!!」


海のど真ん中で溺れている男が三人


チッ…こんなときに!


「船は止めねェ!勝手に乗り込め!」

「なにいっ!!?」


どんどん遠くなっている船長に追い付くためには止まるわけにはいかない

それでも乗り込むことが出来た遭難者三人に拍手を贈りたい


って、また寝るのかよ!


座ったまま寝に入るこいつに、遭難者が刀を突き付けた


「おい、こいつが斬られたくなかったら船を止めろ」

「ん…?」

「おれ達ァあの海賊"道化のバギー"様の一味のモンだ」

「???」



「あァ!?」












「あっはっはっはー!あなたが"海賊狩りのゾロ"さんだとはつゆ知らずっ!失礼しましたっ」

「そのお仲間さんにも!」

「いいから漕げ。てめェらのお陰で仲間を見失っちまった」

「ぞ、ゾロさん…これはいったい?」

「あ?後で説明してやる」

「はぁ…?」






頭に『?』がいっぱい出ているのがわかる


まあ…

覚えてねぇならそれでいい





子供+泣き顔

=使命感



(これから船長迎えに行くぞ、アルト)(???迎え?)(おれらの船長は問題児みてェだ)(まぁ、知ってましたよ…)


(って、私は海賊じゃないですから!私の船長じゃないですから!)(はいはい)