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- ナノ -
ピンチにピエロに



「あ」

「ん」

「お」

「あっ」

「え…うべっ!!」



「……はぁ、またか」


広場へ歩いていたら、ルフィさんを除くみんなと鉢合わせた


そして私は転んだ(どーん)

ちなみに四回目!(どどーん)


「……なにしてんのよ」

「え、と…サンダル買いました!」


誤魔化すように笑いながら素早く起き上がり、足下を見せる


「うん、それはいいんだけど……服どろどろ」

「四回転びました!」

「威張って言うことじゃねぇ!」

「しかも五回だからな」


…………え、マジですか


「つーかナミ、なんでこんな服にしたんだよ」

「あー……やっぱそう言うと思って別のも買ってきたから」

「えー」

「アルトちゃん、新しい服着てるの!?」

「そんな期待するようなもんじゃねぇぞ、サンジ」


ゾロさん、ナミさん、ウソップさんから批判をくらう


………そんなにお魚さんダメなの?

ナミさん買っていいっていったじゃんか


………つか、どんだけ大量の服買ったのさ


大きなビニールで包みながら背中にしょいこむそれは、きっと全部服なのだろう


なんて呆れながら横をよく見ると、サンジさんが見えないぐらいでっかいお魚

鼻が象のように長いお魚


もちろん私が興奮しないはずもなくて


「そ、それは!?」

「おぉ!かわいい服だ!」

「あ、ありがとうございます」


…………じゃなくて!


二人がかりで持つほどでかい魚が気になりサンジさんに近づこうと足を出したとき、私たちは気づいた


「「「な!!」」」

「へ、あぁあ!?」


私たちがいる広場は、かつて海賊王が処刑された死刑台がある


そこを囲むようにして出来ている人混み

その中心には











「…鼻がムズムズする」


ルフィさんが死刑台に張り付けられていて、今まさに…




首を切られそうになっていた


「「「なんであいつが死刑台に!!?」」」

「ルフィさーん!!」


あんたはどんだけトラブルメーカーなんだぁぁあ!!!


殺されそうな彼を見て慌て出す私たち

犯人はお鼻の赤いピエロさん


「どっ、どどどどどどどどうしようナミさん!!」

「落ち着きなさい!とりあえず救出はゾロとサンジくんに任せるわ!」

「あぁ!」

「了解しました!」


ナミさんの指示で動き出す二人

残されたのは私とウソップさんとナミさんの三人と一匹のお魚さん


「おれらはどうすんだ!?」

「荷物を船に運ぶわ!急いで!」

「お、おう!」


そう言い、広場から走り出すナミさんとウソップさん

二人のあとに付いていこうと、慌てて走り出すが


「ま、ちょっ…ぶっ!!」


………転びました(はいっ、六回目ー)


またのんびり寝ていると置いて行かれてしまうので(いや、すでに二人が米粒サイズに!)(待ってー!)急いで立ち上がろうと手に力を入れたとき


「これよりハデ死刑を、公開執行する!!!」








「ルフィさん……!」


広場全体に響き渡る声

刀を構えるピエロさんはどう見ても本気でルフィさんを殺そうとしていて…














いやだ


「おれは!」


いやだよ


「海賊王に…!!」


一緒に、みんなと一緒に……


冒険しようよ…ッ!!


「なる男だァァア!!」


こんな状況にも関わらず、自分の夢を大声で叫ぶルフィさん

しかし、ピンチがなくなるわけでもなく


「いやだ…いやだぁ……!」


死んじゃ、やだぁ…!


彼の発言にざわめく野次馬の声

彼を助けにいっているゾロさんとサンジさんの声

彼を殺そうとしているピエロさんの声


どの声にも涙が流れてきて、自分の声が震えてきて

それでも動くことができなくて


真っ白な頭にはルフィさんが死んじゃうことしかなくて






誰でもいい

誰でもいいから


「たす、け…て…!!!!」


ルフィさんを









小さく、振り絞るように叫ぶ

誰にも聞こえるはずがなかった私の声は


「「「任せろ」」」

「………え?」


しっかりと届いていた


ア然とする私はわけがわからず固まる

涙で歪む三人の背中を見つめながら





死刑+助けて!

=懐かしい背中



(疑問は沢山あったけど)(口からでたのはたったの一言)



(助けて、兄ちゃん)