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魔獣?なにそれ。こわっ



「で、オメェは?」

「え、あ……アルトです」

「そうか!よろしくな、アルト」


明るい笑顔を向けられ、思わずこちらも笑ってしまったが、私は海賊になる気はない


「あ、あの!私は海賊には…」

「お!町が見えたぞ!!」


き・い・て・く・れぇー!


いい感じに言葉を遮られてしまい、内心涙目になる





「ついた!海軍基地の町っ!」


………海軍?

……………海軍に関わるのはやだけど、助けてもらおっかな


…………それしかないな、うん


「あの、ルフィさん…私海軍に島まで送ってもらおうと思うんで……」

「ああそうだな!メシ食おう」


だから話を聞けェェエ!!


私の話を一切聞いてくれない麦藁帽子のルフィさんは私の首を掴み引きずっていった(私の白ツナギが汚れるゥウ!)









「…じゃ、この町でコビーとはお別れだな!」

「あの、私ともお別れですよ?」

「はい!ありがとうございます。ルフィさんたちも立派な海賊になって下さい」

「いや、だから私はなりませんよ?」


コビーさんも無視か、くそっ

ご飯奢ってくれたからって、そりゃないぜ


残っているご飯を口に掻っ込みムチャムチャ食べる


うむ、うまし


「そういや基地にいるのかな、あの…ゾロって奴」


ガタン!!


「!!」


店にいる私たち以外の客がひっくり返った

どうやらこの町で『ゾロ』という名は禁句らしい


…そ、そんなに怖いのか……


しかしこの町で禁句なのは『ゾロ』だけではなく


「ここの基地にはモーガン大佐という人がいて」


ガタガタァン!!


…………『モーガン大佐』もダメらしい



店を出た私たち(あ、ごちそうさまでしたー)は海軍基地に向かう



海軍である『モーガン大佐』を恐れるのはおかしいと言うコビーさんだが、私の方は何故『ゾロ』という人物が恐れられているかもよくわからない

そのことを伝えたら、コビーさんが説明してくれた


「奴は"海賊狩りのゾロ"という異名を持つ恐ろしい奴なんです」

「へぇー」

「人は奴を"魔獣"だといいます」

「………へ、へぇー」


………こえー、こえーよ
そりゃ町の人も跳び上がるわ


「いい奴かなぁー」

「…いや、捕まってるんですよ?」

「まだ言いますか!ルフィさんは!」


期待の眼差しをしている彼を見て嫌な予感がする


ま、まさか…


「魔獣を見よう…なんて言いませんよね…?」


あまりにも小さな呟きのため二人には聞こえなかったらしい

が、塀に飛び乗ったルフィさんの言葉を聞いて内心叫んだ


「魔獣はどこかなァ」


いやァァァア!
捜してるゥウ!!

なにこの人は!?


「コビーさん!止めてくださいよ!!」

「いや、大丈夫ですよ。覗いて見える所にはいませんから」

「ホ、ホントですか?」

「はい、きっと奥の独房とか…」


涙がちょちょぎれる私にうれしい言葉をくれるコビーさん

彼は私の味方だ


そう、安心していたのに


「なんか向こうにいるぞ!」


こいつ………!!

いるわけないっていうのになに言ってんだァア!!


いても見つけんなっつーの!!


位置を変えて飛び乗ったルフィさんは、一回戻って来て私を抱えた


・・・・っん?


抱えた??


「ほら、アルトも見ろ。仲間になるかもしんねぇ奴だぞ?」

「なってたまるかァア!!そのまえに私はもうなってる前提!?」


断ったよね!?

あ、でもこの人シカトしてた


「!!」


ドサッ!


「コビーさん?」


そろーり、と覗き込んだコビーさんがお尻から落ちた

どうやら彼のリアクションを見る限り本物らしい





「………あ、涙でてきた」


もちろん恐怖から


この場から離れたいのに、ルフィさんが離してくれないので捕まっている魔獣さんと目が合ってしまった





やべ、涙止まんねっ





腹巻き+黒い手ぬぐい

=魔獣さん



(あれか?これも涙で起こった奇跡か?いらねーよ、おい)

(おい、お前ら)((喋ったァァァア!!))(そりゃ、人なんだから喋るだろ。お前らバカだなぁ)