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大事な家族



「いやー、申し訳ないな。こっちの勘違いだ」

「逆に感謝するよ。アルトを助けてくれてありがとう」


久しぶりの再会で、ボコられた私(死ぬかと思った)

マイルさんが止めてくれた隙に、ルフィさんたちの紹介をし誤解を解く(敵だと思ったらしいから)


あ!ちなみに黒髪がダンさん、青髪がマイルさんだよ!


お詫びとお礼をするために懐かしき我が家に皆を招待した

私にはココア、皆にはコーヒーを出すマイルさん


「マイルさんのコーヒーは美味しいんですよ!」

「じゃあココア飲むなよ」

「……こっちの方が好きなんです」


両手で白と赤のシマシマコップに入っているココアを飲む(うん、おいし!)

すると、横で小刻みに揺れているダンさんが目に入った


「あ、あんた…どうしたんだ?」

「いや…久しぶりに苦くねぇコーヒーが飲めると思うとな……」

「………は?」

「あ、あはははは!さぁさぁどうぞ遠慮せずに飲んでねー!!」


あれ?ダンさん泣いてる??

え、ちょ、気のせい?


「…こいつの入れるコーヒーは旨いんだが……悩みごととか抱え込んでるとどうしてだか死ぬッほど苦い!!」


どどーん!


……じゃなくて、そうだったの!?


初めて聞いたそれに驚いてコップを落としかける(あ…ぶない!)

目をそらしながら笑うマイルさんを見る限り本当らしい


「それもこれも…アルト!お前のせいだ!」

「え、ええぇぇえぇ!?」

まさかの原因は私

視線が一気に集まりオドオドしながら、睨んでくるダンさんの話を聞く


「悩みごと、つーか心配ごとなんざお前以外にあるか!」

「そ、そんな…!」

「お前が急にいなくなるから三バカ共は捜しにいっちまうし、アルトは死んだ説が広がるし…これで心配にならない方がおかしいっつーの!」


そ、その通りですね


「しーかーも!?この前海賊が襲いに来たしよォ!いや、海賊は怖くねぇよ!それよかマイルのがコエーッつーの!!」


…ど、どうしよう……ダンさんが壊れた

皆が引くほどに!


顔を全力で背けるマイルさんと、愚痴を叫びまくるダンさんに私たちは一歩下がる


……一名を除いて


「なぁなぁ、おめぇらどっちがアルトの父ちゃんだ?」


ズズー、と普通にコーヒーを飲むルフィさん

今のこの二人に話しかける彼に拍手を送りたい


「……あ?おれらは血は繋がってねぇよ。」

「そうなのか?」

「うん、だってほら、似てないでしょ?」

「あぁ、まったく」


ルフィさんの質問により、いつもの二人に戻ったようだ


……つーか……ルフィさんって、少しは相手の気持ちを考えることをした方がいいよ


「ま、育て親ってとこだな」

「アルトのアルバムあるけど、あとで見る?」

「「是非とも!」」

「おい」

「おれも見てー」

「変わってなさそうだけどな」


何だかんだで打ち解けてきた皆(よかったよかった)

ココアを少しずつ飲みながら、当初の目的を思い出した








ずっと一緒にいた、二人

頭の中に流れてくる思い出

どんな時でも二人はいつもそばにいてくれた

大切な家族がいた









でも、これからは


「ふ、二人とも!」

「なあに?」


少しココアが残っているコップをテーブルに勢いよく置く


この島に来たのは、帰ってきたんじゃなくて…



"いってきます"


を言いに来たんだ


「私………

……海賊になる!」


海賊になって今度は"仲間"の皆とずっと一緒にいたい!


見えない二人の表情に心臓がいつもの倍以上に動き出したのがわかった





再会+決意

=親ばなれ



(大切な家族のもとから)(大切な仲間のもとへ)(…お願いです、二人とも)


(笑顔で見送って下さい)