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「#幼馴染」のBL小説を読む
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これは夢かい?



「ん?……おーい!島が見えたぞー!!」


望遠鏡片手に叫ぶウソップ

奴の視線の先には小さな島があった


アルトちゃん、あの島でいろいろなことしてきたんだろうなぁ…

帰りたいって言ったとき、何だかんだで幸せそうな顔してたから


昨日のアルトちゃんを思い出す

ナミさんたちから、アルトちゃんがまだ仲間ではないと聞いたときは驚いたが、今日で晴れて仲間になるのだ


そう、今日であのかわいいかわいいアルトちゃんが……


「………グフフフフ」


あぁ、もう……し・あ・わ・せ!








「キモい」

「ゴフッ!!」


アルトちゃんが寝ている女部屋を眺めていたら、視界が歪んだ

しかも、物凄い衝撃付きで


「な…に……ッすんだァァア!!」

「顔がキモい鼻の下が伸びすぎ頼むから消えてくれ」

「テェェェメェェェエ!!!」


息継ぎなしでムカつく台詞を言い放ったのはムカつくクソ剣士

どうやらこいつがおれのナイスな顔を殴り飛ばしたらしい


…初対面のときから思ってたが、こいつぁ気にくわねぇ!!


「オロスぞ!?あぁ!?」

「やってもらおうじゃねぇか!!おぉ!?」


幾度目かになる取っ組み合いの喧嘩

いつもなら誰かが止めにはいるが、ウソップは見張りだ台に、ルフィはメリー号の頭の上、そして素敵でプリティで女神のナミさんはアルトちゃんと一緒にいる


…………アルトちゃん?


彼女の名前で一時停止

そして数秒後には苛立ちが沸き上がってきた


そうだ、アルトちゃんだ


彼女の愛らしい笑顔と同時に浮かぶのは


「ぬわぁぁぁぁんでテメェも浮かぶんだァァァア!!」

「あ、危なッ!!」


はい、先生質問です

なんでおれの中でアルトちゃんはクソ毬藻とセットになっているんですか?


はい、サンジくん。答えは簡単です


「テメェがしょっちゅう一緒にいやがるからだァァァア!!」

「意味がわかんねぇよ!!」


脳内の一人芝居で出た結論に涙を流す

止まらない苛立ちを己の蹴りに込め振り上げたとき


「うる…っさいのよ!」


ゴンッ!ガンッ!


「ぐっ!」

「がっ!」

「アルトが起きちゃうでしょ!!」


再び襲ってきた衝撃

そして聞こえてきたのはかわいらしい声


「さっさと上陸の準備!碇降ろしてきて」

「へいへい…」

「ヌワァミすわぁぁん!アルトちゃんは?」

「ギリギリまで寝かしとくつもり」


おれに愛の拳をくれたナミさんの指示に従い、上陸準備

ウソップが下に降りてきて、クソ毬藻が碇を落としたそのとき









「はいストップゥー」

「怪我したくなかったら大人しくしてねー」


全く聞いたことのない二つの声

視線を向けると、タバコをくわえた目付きの悪い黒髪の男と、髪が青と水色の二色で泣き黒子のある男が

そしてその二人の男の手にはデッキブラシが握られていた


「ん?誰だテメェらは?」

「んーと…村人Aです」

「……じゃあおれがBか?」


全体的に気の抜けているオーラを出しきっている二人を見て、思わず口のタバコを落としかける


「いやわかんねぇよ!」


ウソップがこの場の全員の気持ちを代弁した

そしてさらに詰め寄ようとしたとき


「待ちな」

「う、ぉ…!?」

「「「「!!」」」」

「おれたちはストップって言ったの、わかる?」


それは一瞬の出来事

下にいたはずの男らがいつの間にか船に乗り込み、ブラシをウソップに突きつけていた

その様子におれは思わず構える


…デッキブラシだっつーのに、なんつう威圧感だ…

………ん?

デッキブラシで、戦う?


………なんか、似たようなのなかったか?






……………あ、


『あの人たちにかかればそこらへんの海賊なんかモップで倒せるんだからな!!』


思い出した

話ではモップだけど(ま、似たようなもんか)



…あいつら、まさか


「アルトちゃんの……………!?」


おれの呟きに異常なまでに反応した男二人

同時に放たれた殺気


「お前、今なんつった………?」

「……その名前、どこで知ったの?」


ピリピリとした空気

おれもルフィも剣士もウソップもナミさんも…わかってるはずだ







鳥肌がたつほどの相手の強さを


長い沈黙、先に動いたのは…いや、動こうとしたのは相手だった

しかし、この空気をぶち破ったのはこいつらじゃない


この場の空気を変えたのは















ガチャ…


「「!!」」

「ふわぁぁぁあ……みんなぁー……ついたぁー……………ん?」


寝起きのアルトちゃん

彼女は二人の男の存在に気付いて固まり、男らも驚き目を見開いた


「………アルト?」

「…………ダンさん?」

「…………え、本物?」

「………マイル、さん?」










「…………〜〜ッダンさん!マイルさん!!」

「「アルト!!」」


………あぁ、やっぱり

あの二人はアルトちゃんの大切な人だったんだ


一瞬のうちに涙を溜め、二人の元へ駆けていったアルトちゃん

おれ以外もなんとなーく状況が読み込めたようで場の空気が一気に変わった



感動の再開














だと、思ったのに


「くぉぉぉぉおのっ……不良娘がァァァァァァア!!」

「うがっ!?ちょ、ま…うぎゃぁぁぁぁぁあ!!?」

「アルトー!!生きててよかったァァァア!!」

「マイルさ、助け…うわぁぁぁぁあ!!!」
















え、ちょ……は?


「あれがアルトの家族か?」

「「「「………………」」」」


………感動どころか血の気が引いてしまった再会だった


…ちょ……え、ま





黒髪+青髪

=アルトちゃんのかぞ、く?



(今までどこにいたぁぁぁあ!?)(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…)(ダン!アルトが死んじゃう!)


(あっはっはっはっは!おんもしれー!)(あ、あれは…え?親?)(あれは、家族?…え?)(つーかブラシ…え?)(…なんなんだいったい)