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なにがなんでも否定



クソコックのうるせぇ声に、

ルフィとウソップのバカ声

そしてナミの怒鳴り声


実際聞こえてくるのはその四つだけのはずなのに、一番よく脳に響き渡ってるのはここにいない奴の声なのは何故だろうか


そこで出てきた一つの答えを


「……………違う」


……………と、思いたい


何度目かの否定に軽い頭痛が起こる

そして同時に浮かび上がってきた


アホ面


…………あぁ、もうホント

頼むから誰か違うって言ってくれ

それはお前の勘違いだ、目を覚ませ、と大きな声で言ってくれ


天気の良い青空の下だというのに、胡座をかきながら落ち込むおれ


……よし、落ち着け

落ち着いて考えてけ



まずは見た目だ


見た目……は、特別美人っつーわけでもねぇ

ぶっちゃけ、ガキ

スタイルだって良いわけじゃねぇ

チビだし、一重だし、すぐ泣くし、鼻水垂らすし、アホだし、マヌケだし…


ほらみろ、おれ

どこにそんな要素があった!






『みんなみんな、大好きです!』




………………


















「ん?」

「どうした、ルフィ」

「ゾロが泣いてる?」

「………つーか、落ち込んでる?」

「ねぇちょっと!」

「「ん?」」









………なんでその顔が出てくんだ……ッ!!


頭にこびりついて離れないガキ丸出しの笑った顔と、直球ど真ん中で下心も何もない純粋な言葉を頭の外に追いやる

力の限り床を叩くが、痛みもなにも感じねぇ


「……………ダメなんだよ」


手の色が変わるぐらい力の込められた拳

自分のそれを見つめながらおれは否定し続けた





泣いてるとき、どうしようもなく込み上げてくる気持ちも

笑ってるとき、気持ち悪いくらい動きだす心臓も

その笑顔が他人に向けられてるとき、胸の奥底で溜まっていく感情も



邪魔なだけなんだよ


「………ちくしょー」


認めねーぞ、おれは


そんな浮わついたことをするために海に出たんじゃない


友との約束を、

世界一を、


















「おいゾロ!」

「…………あ?」


人が死に物狂いで心を落ち着かせているところに、悩みのない笑顔でおれを呼ぶルフィ(羨ましいな、おい)

手招きされ、行ってみるとそこには全員が集まっていた


「おい、いいのか?女部屋に入っても」

「しー!」

「は?」

「いいから来なさい!」


………女部屋に男立ち入り禁止、つったのお前だろ


とりあえず、言われるがままに近づき、あいつらが囲んでいるものを見た


「!」

「ホント、癒されるって言うのかしら」

「まるで天使のようだ!」

「うるせぇぞサンジ!」

「いや、お前もな」


囲んでいるもの、それは


「………んがー」


おれを悩ませていた原因


…あぁ、気づけよおれ

こいつらが今女部屋に集まってるっつーことは、高確率でこいつじゃねーか


くそっ…なんで素直に来ちまったんだおれは


「イビキはかくし、ヨダレは垂れてるし…なのになんでかわいいと思うのかしら」

「小さいからじゃん?」

「ちげぇぞ!真っ白だからだ!」

「……なんだそりゃ」

「でも、なんとなくわかるかも」










「……………」


天国にいる親友、くいなへ


大剣豪の道は、想像以上に遠く険しいみてぇだ





この気持ち+この感情

=おれは認めねぇ



(寝言を言いながらだらしなく笑うこいつ)(こいつの夢に出てるのが)(どうかおれであってほしい)



(………なんて絶対認めねぇ!)