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答えを持つ人はいない
 


王女であるビビと友達になれたアルトは、にやける頬を隠すこともせず笑みをこぼしていた。誰が見ても喜んでいる、ということがわかる彼女の雰囲気にビビもつられて笑った


「ビビさん!」

「なに?」

「………」

「アルトさん?」

「…いひひ!呼んでみただけー!!」


どこの彼氏彼女だ。…そんなツッコミを入れてくれる人物はこの場にいないらしい。その役目を果してくれるはずの王女は今、小さい彼女に胸を打たれ赤くなる頬を隠すことしかできない


パパ、私こんな妹が欲しい…!


遠くの母国にいる父に、ビビはひたすらテレパシーを送っていた。しかし彼女は知らない。目の前の少女が自分と同い年の女であるということを。彼女どころか、この船の誰も知らない事実だということを







ビビの隣に座る、メルヘンな思考の持ち主であるアルトもテンションの針が振り切っていた。王女さまと、お友達、だああああああ!!、と

その感情は表情だけに止めることが出来ず、足をばたつかせた。その衝撃にアルトの背中に寄りかかっていたナミが動いた。そんな彼女にアルトは笑顔のまま振り向いた






「ナミさーん起きたー?あんね、あんね!私王女さまとお友達に、」


なったんだよ!そう私は、言葉を続けようとした、したかった。けど、



どさり、なんて大きな音に遮られた





笑顔のまま固まったアルト

そんな彼女とは対称的に顔を歪め慌てるビビ





小さいからか、自分にとって都合の悪いことなどを受け入れることを拒否する癖があるアルトはゆっくりと下を向いても、顔に笑みを残したままだった。それでも、目に見える景色が、確実に脳に届けられていく。その証拠に彼女を笑みはだんだんと崩れていき、





「皆大変!!!ナミさんが…っひどい熱を…ッ!!!」


くしゃりと歪んだ










ナミさんが熱、

そうか、熱で、倒れちゃったのか


でも…ただの熱だよね?

私のときみたいにすぐよくなるよね?


「………大丈夫、だよね?」


アルトの小さな呟きは誰の耳にも届かない。届いたとしても、熱に苦しむ彼女の症状がわかる人物はいない






熱+突然

=今度は貴女が



(熱なんてすぐによくなるよ)(だって私がそうだったもん)(でも上手く笑えない)("突然"倒れた貴女が重なったから)

(突然いなくなったあの人と)