これが私のやり方です
「ナッミさーん!」
「あら、あんたまだ食べ終わってなかったの?」
手を大きく振りながらナミさんのもとへ駆け寄った。直ぐ隣には王女さまもいたので、二人の間に腰掛ける
「王女さまも食べる?」
「え?あぁ、アルトさんが食べていいわ」
「そう?」
「遠慮しなくていいのにー」と言いつつも口と手を止めることなく動かす(うんめぇ、うんめぇ)
「し、幸せそうに食べるのね…」
「幸せッス!」
「やっすい幸せねぇ」
「なにおう!?…グエッ」
お煎餅は安くない!贅沢だ!そう叫ぼうとしたが、喉から出たのは潰れたような声
原因は立っていたナミさんが私と背中合わせに座ってきたから。おかげで前屈みになった私はまともにお煎餅が食べれない
「なぁみぃさぁぁああん……」
「うるっさい、もうこっちはいろいろあって疲れてんのよ」
「……お煎餅いる?」
「いらない。あ、ビビこれ渡しとく。指針の方よろしくね」
そう言って王女さまにエターナルポースを渡し、さらに体重をかけてきた。地味に体勢が辛い
表情は彼女に届かないが、口を尖らせ無言でアピールをするも無視される
……はっはっはー
これから柔軟やろうかな。いや、固いって訳じゃないんだけどね。平均的だと思うよ、私は
でもずっとはしんどいッス!
……まぁ、いいけどさ
どうやら背中から退く気配のない彼女。仕方なくこのまま放置をし、エターナルポースとやらを見つめる王女さまに声をかけた
「王女さまっ、これで王女さまの国に行けるんだよね?」
「えぇ、そうよ。一安心だわ」
一安心、そうは言うものの王女さまの笑顔はどこかぎこちない
そりゃそうだ、どっかの悪い組織をどうにかしないといけないんだから(しかもめっちゃ強いとか、なんとか)(やば、泣きそう)
ビビりな私、
泣き虫な私、
弱っちょろい私、
でもあなたが王女さまなら
「王女さま、あんね…」
「?」
辛いこの体勢からニヒッと笑う
手にはお煎餅がまだいらっしゃるので、差し出さなかったが
「私がナイトさまになります!」
その言葉に目をぱちくりさせる彼女。「だから、心配しないで下さい」と付けたし、手の中のお煎餅を食べた
ようやくお煎餅を完食
自由になった手の食べかすをはたき落としていると、横から私よりも少し大きい彼女の手が、少し醤油でべたついている手を包む
「お、うじょ、さま?」
手、汚れちゃうよ?
上半身が傾いてる中、首も傾げる。そして王女さまも首を傾げた。私と違って彼女は可愛らしく微笑んでいるけれど
「ナイトもいいけど、私はアルトさんと仲間になりたい」
「へ、」
「"王女さま"って呼ばれると…なんだか距離を感じちゃうわ」
「もちろんアルトさんにそのつもりはないんだろうけど、」と言う彼女。彼女に握られている手を痛いぐらいに握り返す(なか、ま)
「仲間………」
「…………」
「仲間、かぁ…」
「………ダメかしら」
いや、ダメっていいますか
………その、
「私たちってもう仲間じゃなかったの?」
「!!」
「それに私、仲間もいいけど…」
王女さまと、
お友達に
「……なりたいなぁ」
「アルトさん?」
「お友達!!」
「!!」
「に、なりたいッス!」
よろしくお願いします!そう言って頭を下げた。握られていない方の手を突き出しながら
数秒の沈黙。そういえば前にもこんなことやったな、あ、ナミさんのときだ。なんて、思い返す時間があったぐらいの長さの沈黙
え、ちょ、長すぎない?沈黙長すぎない?
まさかNOなの?ダメなの?断られちゃったの!?
ダラダラと汗を流しながら、恐る恐る視線をあげる。と、そこには
「え、あ、はい。よ、ろしく…お願いします」
顔を真っ赤にさせた王女さまがいた
なんで真っ赤?
どうしてしどろもどろに?
いろいろと疑問は浮かんだが、とりあえず私は自分の出せる最上級の笑顔を彼女に向けた
「うん!よろしくねっ!!!」
私+王女さま
=今日から友達!
(うひひ、やったぁ。王女さまとお友達だぁ)(………むふふっ!)(よ、ろしねアルトさん)(うん!)
(び、びっくりした…)(アルトさんいきなりあんな風に言うんだもの)(…告白かと思っちゃったわ)
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