それが事実ならば
夜中戦った理由とか、誰が敵だとか、ゾロさんの態度とか…よくわからんことが多いが、まぁ一段落ついたらしい
私泣いてただけだけど
戦力外?そんなもん端っから知ってたもんねーだ
「拗ねんな」
「拗ねてないし、決意しただけだし」
「決意?」
「これから特訓してマッチョになって強くなって、皆を助けてやるんだから!」
「そーかよ」
でもマッチョはやめろ、気持ち悪いからと言いながら私が持っていたお酒を飲むゾロさん
絶対みんなの役に立つんだ!なんてお月様に誓っていると(なんで月に?)(カッコいいから?)(…聞くな)
「Mr.5!?ミス・バレンタイン!?」
「「ん?」」
切羽詰まった声が聞こえてきた
二人で仲良く首を傾げながら下に視線をやると、昼間の巻き巻きしてるおじさんが傘を持った女の人とサングラスをかけた男の人にやられていた(何故に!?)
突然のことであわあわする私
しかし、そんな私とは対照的にのんびりとお酒を飲み続けるゾロさん(どーしてそんなに落ち着いてるの!?)
そんな彼の態度にもちろん私は突っ掛かった
「人が血だらけなんだよ!?死んじゃうんだよ!?」
「大丈夫だって、手加減したから」
「そういう問題じゃな……ん?今なんて?」
え?手加減?
それってつまり……
「………………」
「ゾロさん、黒目が徐々に反れてくんだけど。ねぇ、ちょ、こっち見て」
つーか、犯人あんたか
あんなにボロボロにしたのか
いくら敵とはいえ相手が血だらけになるほどやった彼を内心恐れる(…まぁ、私たちを守ってくれたんだろうけどさ)
「そ、んなことよりだ」
あ、開き直った
ゴトリと飲み干した空の瓶を置き頭を掻く
その様子に首を傾げながらどうしたのか聞くと
「いや、ルフィ置いてきた」
あそこに
そう言って指差した方向には、先程の傘とサングラスの人に巻き巻きおじさん…………と、お腹を真ん丸にして爆睡しているルフィさんがいた
場違いな彼を見て私が目を擦ったのは言うまでもない(混乱しすぎて逆に落ち着いてますが)(…いや、それより説明プリーズ!)
「しゃあねぇな、回収しに行ってくるか。…お前はこっから動くなよ」
「いえっさー」
というか、動きたくありません
ビシッと敬礼をしながら屋上から飛び降りていくゾロさんを見送る(相変わらず素晴らしい運動神経ですね)
とりあえずやることがない私は膝を抱えながら下の会話に耳を傾けた
「おれたちの任務はわが社の裏切り者の始末だ」
ひぃ!始末とか言ってるよ!
やだやだやだ…
私は無関係です!どうかバレませんように…!
「きゃハハッ、心当たりあるでしょ?
アラバスタ王国"王女"、ネフェルタリ・ビビ」
ぴくんっ
「…………おう、」
……じょ?
…その後の会話は聞いていない、というか、聞けなかった
何故なら私は静かに立ち上がり、揉める下の人たちの声を背にこの場を立ち去ったから
聞き耳+お姫様?
=ならばやることは一つ
(王女…)(ということは、お姫様)(んで、プリンセス……)
(そうか、そうか)(あの人は、)(…うひひっ!)
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