×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -
自己解決したようです



クローゼットの中で泣きじゃくっていた私を保護したのは、トイレに行っていたと思っていたゾロさん

泣きながら抱きついた私を苦笑いしつつしっかりと抱えてくれた

そしてそのままの状態で民家の屋上に上り、何があったかを説明してくれた





「………とりあえず、命が危なかったんだね」

「あー…まぁ、簡潔にまとめるとそうだろうな」


…理解力がなくてすいません


あはー、なんて笑って誤魔化す

しかしゾロさんは私が理解できないことを半ば予想していたようで、大して気にすることなく酒をらっぱ飲みしていた(ちなみそのお酒は私が持っていたやつです)


…私の扱い方が慣れてきたみたいデスネ

…………これって悲しむべき?





「………あ」

「ん?なんだ?」

「おでこ、血が出てる」


真夜中で頼りになる明かりが月明かりしかないので気づかなかったが、ゾロさんの額が少し赤くなっていた


「……あぁ、そういや殴られたからな」


そ、そんなさらりと言わないで

結構なことだよ?殴られたって


「…大丈夫なの?」

「おう、メリケンでやられたぐれぇだ」

「メ、メリ…?」

「鉄で殴られたってことだよ」

「へー………




………って、おい!」

「んっ?」


いや、んっ?じゃないっつーの!

なんで当たり前みたいに言ってんのさァ!


当然のことのように言われ理解するのに数秒かかった

その言葉の意味をよく考えてみると、それは命に関わる問題

隣で平然とお酒を飲む彼の肩を掴みこちらに向かせた

ビックリして固まるゾロさんの額にペチペチと手を置く(くっ…身長差が…!)(えぇい!膝立ちじゃー!)


「な、にしてんだよ」

「だ、だって鉄で殴られたんでしょ?」

「お、おぉ…」

「骨割れてたら大変じゃん!」


もし割れてたら死んじゃうよ!?


そう言って泣きながらペチペチと頭を叩き続けること数秒後、私は今骨が割れていたらこんな平然としてお酒を飲めないことに気づいた(お、お恥ずかしい…)


こんだけ普通なら、大丈夫か

………その"大丈夫"がおかしいんだけどね、本当は


まぁ何にせよ無事でよかった、とほっと息を吐き腰を下ろす


「本当、ゾロさんは丈夫すぎて怖いなー」


いや、ゾロさんたちは、だね!あっはっはー





「……って、どったの?」

「………………」

「もしもーし?」

「…なんでも、ねぇ」


そんな弱々しい声じゃ説得力ゼロなんだけど!?


胡座をかきながら項垂れるゾロさん

顔は手で覆われていてわからないが…なんだか背後に"ズーーン"という文字が見える(気がする)


え?これ明らかに落ち込んでるよね??

え?えっ??


おろおろとその様子を見ていたらゾロさんはゆっくりと顔をあげ、私をじっと見てきた(何故!?)


「……ゾロさーん?」

「………………」

「……起きてますかー?」

「………………」




な、なんなのさぁぁぁあ!!

わっけがわかんないよ!!もう!


無言で見つめ合うこと数十秒、この空気に耐えきれなくなった私は叫んだ


「なんかあるなら言ってくれないとどうしようもできないよ!頭が痛いなら痛い、悩みがあるなら悩みがある、って!言ってさえくれ
ればこっちだって対処…」

「アルト」

「はいなんでしょうか!?」


もうなんで怒っているのが自分でもわからなくなってきた

ギャンギャン吠える私とは対照的にゾロさんは静かにゆっくり口を動かす








「諦めるわ、おれ」

「……へ?」

「もういいさ、認める」


なんだか少しスッキリした顔で私の頭をぽんぽん叩くゾロさん

どうやら問題は解決したらしい

もちろん私はきょとーん













「あー、でもあいつに気づかされたみてぇでなんか嫌だなぁ」

「…………誰?」


ちょ、そんな満足気な顔してお酒飲まないでって

なんだか説明してよ!





諦め+スッキリ

=いや、だから何が?



(もう無理だってわかったし)(あの、)(悩むくらいなら手にいれちまえばいいんだよな)(だから、その)


(………もういいや、気にしない)