知らないって、罪だね
ふ、ふふ…ふ、あはは
ごめん、サンジさん
床にペタリと座り込みながら涙を流した
何故かって？
……あのあと、イスの上に座っていた私はものすごい揺れによりそこから転げ落ちた（何事！？）
なにがなんだかわからずにぶつけたところを撫でていると、船が右へ左へぐわんぐわん揺れまくる
突然のことで対処しきれなかった私はそのまま船と一緒に右へ左へ転がりまわったのだ（いやぁぁあ！！）
そして、キッチンに思い切りぶつかった瞬間…戸棚の鍋やらフライパンやらが私の頭にどっしゃんがらがら
………と、まぁ
そんなこんなでキッチンが大惨事になってしまったのである
……いや、ホントごめんなさい
でも不可抗力なんだよ？
散らかった調理器具を見てシクシクと泣く
…とりあえず座ったまんまじゃいけないと思い、ゆっくり片付けを開始しました、はい（あとでしっかり謝ろう…）
ある程度片付き、静かになった外に出てみた
「……………わぁ」
こっちも大惨事だ
あの船の揺れの原因であったらしい嵐はもう来ていなく、ポカポカと天気のよい状況……なのだが
「み、みんなぁ…生きてるー？」
その場にいる人が両手両足を投げ出しながら倒れこんでいたら、天気のよい状況何て言ってられない
「…………アルト」
「う？」
「水持ってきて…」
力ないナミさんの声
……見なくてもわかるよ、みんながどれだけがんばったか
そして、ごめんよ。手伝えなくて
こんな場面を見たら、もう黙って頷くしかない
しかし、中には例外もいるようで
「アルト、おれ肉！」
「うわ、ルフィさん？」
「いっぱい動いたら腹減っちまったよー」
「な、何でお前はそんな元気なんだ…」
「あ、サンジ肉！」
「うっせぇ…」
ルフィさん、是非あなた様の体の構造を教えてくださいな
唯一元気な彼を見て、ハハッと乾いた笑いをこぼしてしまった
とりあえずナミさん、サンジさん、ウソップさん、そしてあの二人組に水を渡していく（アルトー、肉はー？）（ない）（えぇー！？）
全員に渡し終わったとき、横でもぞりと何かが動いた
「くっ…はー！…よく寝た…」
「…………………………………………おはようございます」
「…なんだその信じられねぇもんを見る目は」
正確には信じたくない、だよ
外に出てない私でもわかったあのものすごい嵐
そんな中を爆睡していたなんて……あなたは人間なんですか？
体を伸ばすこの例外その２の方は……はい、ゾロさんでございますね
寝ていて嵐のことなんか一切知らない彼は、倒れこむみんなを見てだらしないの一言
みんなが一斉にイラッとしたのがよくわかった（…だってね、空気が変わったの）
「ん？おいアルト、その顔の痣どうした？」
「え？あー…これはキッチンの鍋たちが…」
「キッチンだぁ？おいおい、コックの管理不足が原因かよ」
「え、あ…いや、ちがっ」
「それともあれかぁ？棚の扉が緩んでたのか。…もうメリーにガタがきたのか」
「だから、ちがっ…！」
お願いゾロさん！もうなにも言わないでっ！
今のあなたの一言にどれだけの威力があるか、知ってるの！？
ゆらりと揺れる彼の背後の三つの人影を見て、あ、もう手遅れだ、と直感した
ガンっ！
「いっ！？」
「よくもまぁ、そんなことが言えるわね…こっちは必死で嵐の中を……！」
「ってぇな、なんだよ！」
「えぇい！お黙りっ！サンジくんにウソップ！やっておしまい！」
「「うぉおぉ！！」」
「ちょ、な！？」
「おー、みんなこえぇなぁ…」
「ルフィさん、ルフィさん」
「ん？」
「こういうときは手を合わせてね…」
「あ、わかるぞ、それ」
「じゃあ、一緒にやろうか」
「あぁ！」
「なにが管理不足だぁ！あぁ！？てめぇはその腐った頭を管理してろっつーんだよ！クソ毬藻！！」
「てめっ、蹴るんじゃねぇよ！」
「メリーのせいにしやがって…！ガタがきてんのはお前の頭だァア！！」
「ちょ、ウソップ止めろ！」
「「この…毬藻ォォオォ！！」」
「いだだだだ！いてぇって！マジ蹴りじゃねぇか！止めろ！！」
………はいっ、ルフィさんや他の皆さんもご一緒に手と手を合わせましょう
ゾロさん…これはあなたが悪い、うん
寝起き＋一言
＝もう何も言っちゃダメだよ
（あ、あのー…）（ん？）（島が見えたんで私たち、ここでもう泳いで帰ろうかと…）（え、あ、はい…どうもすみません）（（あ、いえいえー））
（………結局あいつらはなんだったんだぁ？）（わからないけど……とりあえず、かわいそうな人たちだよ）
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