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さよなら、未来の将校



「はァ、食った…!」


モーガン大佐を無事に倒した私たちは、女の子の家にてご馳走になっていた


料理は美味しかった

お腹いっぱいだし、幸せ



…でも、それ以上に


「無事でよがっだぁ〜…!」


釣竿が


涙をダバーッと流しながらほお擦りをする


あの戦いの中、もし竿が折れていたら暫く落ち込んでいたかもしれない

……いや、もしかするとずっと


「大切な物なんだな」

「うん…思い出がいっぱい詰まってるんだぁ……」


釣竿を眺めながら思い出に浸る


「で、ここからどこへ向かうつもりだ?」

「"偉大なる航路〈グランドライン〉"へ向かおう」

「いってらっしゃい」

「アルトもだぞ」


勘弁してください!


いくら無知の私でも知っている

あそこは世界中から様々な海賊たちが集まるとこ

航海だって、東の海〈イーストブルー〉とは較べものにならないくらい危険だろう


よーするに、ものっそい怖い


ゾロさんは何故かのり気だが、コビーさんは無茶を言う二人を止めようとする


が、がんばれコビーさん!

……いや、私は行かないから関係ないんだけど


「ルフィさん、ぼくらは…つきあいは短いけど

友達ですよね!」

「ああ!別れちゃうけどな。ずっと友達だ」



「ルフィさん、私とも別れましょう」

「…お前は少し黙ってろ」

「ムグッ!」


ゾロさんに肉を詰め込まれ、話せなくなる


た、確かに空気読めてなかったけど!

それでも言わなきゃ連れてかれちゃうでしょ!



……あっ、肉うまー


「それよりお前は大丈夫なのかよ」

「え?」


そうなのだ

コビーさんは前、海賊船にいたらしい(さっきそのことを聞いて物凄く驚いた)



コビーさんの夢は海軍

しかし、海賊船にいたとなると入隊出来るかどうか…


そんな心配をしているところに、この町の海軍がやって来た


「君らが海賊だというのは、本当かね…」

「いや!私はちフゴッ!」

「はい追加」


ゾロさん!ちょっ…何するのさ!


あ、やっぱ肉うまー


海軍が言うには、海賊とわかったからには黙っているわけにはいかない

しかし、救って貰った事もあるのでそっこく町を去ることで、本部への連絡はさけてくれるらしい


………ここで言わなかったら、海賊だと思われてしまう!


ゴクリと飲み込み、そのことを伝えるために口を開けたが


「おら、ラスト」

「ッ!…ッ!!」


また詰め込まれた
しかも限界まで


立ち上がるルフィさんとゾロさん

最後の抵抗で椅子にしがみついていたのだが、それも無駄に終わる


「じゃ、行くか」

「ん゛ー!!」

「お前はいい加減空気を読め」


できるかッ!!


動かない私をゾロさんが脇に抱え上げる


この空気でそれをやったあんただけには言われたくない!


海軍がいる前で親しく会話ができるわけないので、コビーさんとは無言ですれ違う

それを海兵が止め、コビーさんも海賊ではないのか?と聞く


はいはーい!私も海賊じゃありませーん!


なんて言いたくても言えない状態

疑われているコビーさんのためにルフィさんが最後の手助けとして、コビーさんを殴り飛ばした

それは彼の芝居


そんなシリアスな中なのに、口に肉いっぱい詰めている自分に泣きたくなった


「んがっ、ん…むっ!」

「いいから黙れッ」


よくないから黙らないんだよ!


なんてやり取りをしている間に、ルフィさんの最後の手助けが終わった

殴られたコビーさんを背に歩き出す私たち


…くそっ
ホントに海賊になってしまう

どーにかせねば…







「ぼくは!海軍将校になる男です!!」

「!」


聞こえて来た声に振り返る

担がれているので立ち止まることは出来ないけど、コビーさんがいるであろう家を見つめる


「…むふっ」

「?どうしたアルト」

「いや、なんでもないです」

「???」


あの声が聞こえたのは私だけのようだ


誰の見送りもなく、船を出そうとする私たち

そこに、先程聞いた声が


「ル!ル!ルフィさんっ!!」

「!コビー」





「ありがとうございました!!この御恩は一生忘れません!!」


ビシッと敬礼するコビーさんに私たちは笑顔になる


「全員敬礼!!」

「え…!?」


海軍が海賊に敬礼をするというおかしな光景

それでもいい船出になった


「コビーさん!」

「!」

「私!海軍嫌いですけど、コビーさんは好きです!!がんばって海軍将校になってくださァい!!」

「!!は、はい!」


ルフィさんと一緒に船の後方に立ち、皆が見えなくなるまで手を振る


コビーさん、お元気で…














「…って、乗って来ちゃったー!!」

「行くかァ"偉大なる航路〈グランドライン〉"!!」

「嫌だァァァアァァアァア!!」





友達+別れ

=また逢おう



(今すぐあの町に戻って下さい!)(あー、腹減ったー)(ふわぁ…眠い)


(は・な・し・をッ…聞けェェエ!!)