ギラヒム、どうしたのそんな顔して。……あはは、やだなあ!大丈夫、私はいなくなったりしないよ。……うん、まあ、最近魔力がとても弱っているけど、大丈夫。元気だよ。

ねえ、ギラヒム、聞いてくれる?うん、今話しておきたい事なんだ。なんとなく。あのね、この森にはたくさんの植物があるでしょう?で、最近私が気に入ってる果物があるんだけど。そうそう、あの赤いのと青いの。その果物は違う味がして美味しいけど、赤いのが全部酸っぱくて、青いのが全部甘い訳じゃないんだ。赤くて甘いものもあるし、青くても酸っぱいのもあるんだ。本当はね。それと、酸っぱいか甘いかだけじゃなくて、たまに苦かったり、辛かったりするのもあるの。不思議でしょ?どうして不思議に思うのかなあ、って考えてたら、「赤は酸っぱい」「青は甘い」って思い込んでるからなんじゃないかな、って。

魔族に生まれたから、人間に生まれたから。それも同じ。本当はそんなの関係ないでしょう?だって、大切なのは種族じゃなくて、その人自身の個性なんだもん。私やギラヒムみたいに、人間みたいな見た目で、人間の気持ちを理解しようとする魔族もいる。何も考えずに魔物のように暴れる人間もいる。魔族と人間は決して分かり合えることは無い、共生することは出来ない、という酷い思い込みさえなければ、トライフォースの奪い合いだって起きるはずも無かった。魔族と人間、互いに善の者も悪の者もいて、両者に違いなんて無いということにもっと早く気付けていれば、一緒に暮らす道を探す事が出来たのになあ、って思うんだ。……ううん、違うよギラヒム。これは私の責任でもある。あの司令官を殺してしまうよりも前に、本気で戦争を止めようとしなかった私の責任。ギラヒムと私でお願いすれば、きっとギラヒムの主(マスター)も分かってくれたんじゃないかなあ。最近はそんな後悔ばっかりしてるんだ。

だからね、もし生まれ変わって、同じような状況に置かれたときは、絶対に同じ失敗を繰り返さないようにしようって思うの。この世界で戦争に参加して、司令官を殺してしまったことは、消せない事実だから。……そうよ、もちろん、こうしてギラヒムと暮らせて、私すごく嬉しいの。でももしもう一度やり直せるなら、戦争なんかしないで、魔族と人間が共生する平和な大地で、ギラヒムと一緒にいたい。……ギラヒム、嫉妬してるの?違うよ、あの司令官は尊敬する大切な人間で、恋愛感情とは違うってば。……あはは、もう!可愛い。ギラヒムのそういうとこ、好き。

……ギラヒム、どうして泣いているの?泣かないでよ。……うん、私もギラヒムが好きだよ。……あはは、なあに?どうして今日はそんなに優しいの?うん……悲しませてごめんね。大好きだよ。うん、……ありがとう、

ギ……ラ…………
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